日本上陸狙う3Dプリンター「Carbon」社、総額230億円を調達

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注目の3DプリンターのスタートアップCarbonが大手企業らから新たに総額8,100万ドル(約83億円)の資金調達に成功した。

今回行われたのはグーグル・ベンチャーズが主導し1億ドル(約102億円)を調達したシリーズCの拡張ラウンドで、出資したのはGE Ventures、BMW、ニコン、JSRなどだ。Carbonの調達総額はこれで2億2,200万ドル(約227億円)に達した。

GEとBMWはCarbonの3Dプリンター「M1」を生産ラインに導入したいと考えている。BMWはすでにドイツの工場において同社のプリンターを取り入れている。ニコンとJSRはいずれも日系企業で、Carbonの日本進出の足掛かりとなる。

Carbonの共同創業者でCEOのジョゼフ・デシモン(Joseph DeSimone)博士は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の化学教授(現在は休職中)だ。「パーツを驚異的なスピードで作ることに特化しており、射出成形を競う技術です」とデシモンは語る。

同社が「CLIP(Continuous Liquid Interface Production)」と名付けた3Dプリンティング技術は、小さな容器に入った液体樹脂の中から固体を取り出す方法だ。昔からある光造形法の一種で、紫外線を利用して液体樹脂を固める。

デシモンは容器の底の素材として、コンタクトレンズのように空気を透過するガラスを採用した。液体樹脂とガラスの間に1000分の1インチほどの厚みの空気の層を作り、液体樹脂とガラスが密着しないようにしたうえで、下からUVライトを照射することによって樹脂の下部を固める。ライトを照射させながらロボットアームで固体をゆっくりと持ち上げることで、3Dオブジェクトを作る技術だ。

Carbonによると、従来の光造形法を利用したプリンターなどと比べて解像度の高いオブジェクトを25~100倍のスピードで作れる。

同社は急ピッチでM1の製造を進めているが、現在マーケットに存在しているのは50台のみで、2016年末までには100台にする目標だ。M1を購入する場合は月会費を支払う必要があるが、ソフトウェアの更新や新機能の追加のサービスを受けることができる。

BMWやフォード、自動車部品メーカーのデルファイを顧客に持つ同社。8,100万ドルを調達したラウンドではスポーツシューズのメーカーも数社出資したというが、社名は公表されていない。

編集=上田裕資

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