米ネット広告費、年内にテレビを逆転 7.3兆円に到達との予測

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米国でのデジタル広告の出稿費用は今年中にテレビを突破する――。米調査会社eMarketerは9月13日、今年の広告業界の動向予測を公開。デジタルとテレビの逆転は以前から予測されており、同社は今年3月時点でその時期を「来年」としていたが、予想を上回るペースで変化が進んでいることが明らかになった。

今年の年末までの米国のデジタル広告費用は720億900万ドル(約7.3兆円)に達する。一方でテレビ広告費用は712億9,000万ドルにとどまるとeMarketerは予測する。この数値は米国のメディア広告費用の36.8%をデジタルが占め、テレビは36.4%となることを意味する。

「デジタル広告は従来のメディア広告予算を奪いつつあるだけでなく、全国規模で新たな広告機会を増大させている」とeMarketerのアナリスト、Martín Utrerasはリリース資料で述べた。

ここで重要なのはテレビ広告費用も今年は増大傾向にあることだ。今年はオリンピックや大統領選挙の効果を見込み、eMarketerはテレビ広告費用の増大率を従来の予測よりも引き上げた。

モバイル広告費は年間4.7兆円

一方、デジタル広告の隆盛は様々な要因に支えられている。特に顕著なのがモバイルで、今年は45%の伸びとなり、459億5,000万ドル(約4.69兆円)に達する見込み。モバイル広告は告業界全体で最大の伸びを記録し、2019年までに米国の広告市場の3分の1以上を占めると予測される。

モバイル広告市場においてグーグルは32.0%のシェアを得ており、フェイスブックの22.1%がこれに続く。その中でも成長部門と目されるのがビデオ広告だ。ビデオ広告は今年103億ドル(約1.05兆円)に達すると予測され、デジタル広告全体の14.3%を占め、この数値は来年には15.1%に成長すると予測される。

この背景にはデジタル広告が、プログラマティックと呼ばれる固定単価の取引やオークション型のRTB等のテクノロジーの導入で、急激な発展と遂げてきたことが挙げられる。その一方「より視認性の高い広告やネイテイブアドの導入、さらには効果測定の向上により、より多くの広告費用が注がれるようになっている」とeMarketerのUtrerasは分析する。

デジタル広告で最大の急伸勢力と言えるのがディスプレイ広告であり、その勢いは2020年まで続くと見られている。ディスプレイ広告の出稿費用は今年345億6,000万ドル(約3.5兆円)にのぼると見込まれ、検索広告の332億8000万ドルをわずかに上回る。フェイスブックはディスプレイ広告の34.5%を占め、その出稿費用は119億3000万ドル。続くグーグルは金額で47億9000万ドル。占有率で13.8%と大きく引き離されている。


編集=上田裕資

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