ネストの監視カメラ「AIで不審者の自動判別」機能を実装へ

(c)Nest

ネストは同社のセキュリティカメラ製品に、周囲の情報を認識させる動きを進めている。

9月8日、アルファベット傘下のネストは同社の2つのセキュリティカメラ製品がグーグルのディープラーニングソフトと連携を開始したと発表した。

今後、ネストのカメラが捉えた動画データはサーバに送られ、ソフトウェアが動画内に人が映っているかを判別し、人を発見した場合にはユーザーにアラートを送信する。

現状ではソフトウェアが判別できるのは人間に限られるが「将来的には特定の人物や見慣れない車が侵入しようとした際に、それが判別可能になる」と、ネストの製品マーケティング部門のマキシム・ベロンは述べた。

ネストによると動画データは独自のサーバで解析され、グーグルのサーバには残らないという。同社はグーグルからディープラーニングのソフトウェアの供給を受け、アルゴリズムの調整を共同で行なうという。このソフトはグーグルがグーグルフォトに使用するものと同じもので、動画を自動的にソートし、ラベルづけを行なう。

ネストはこれまでユーザーの許可を得た上で、ディープラーニング技術でセキュリティカメラの動画から特定の人物を割り出す実験を行なってきた。

今回の試みはアルファベット傘下のグーグルとネストが共同で行なう、これまでで最もダイレクトな取り組みと言えるが、水面下ではさらなる連携も始まっているようだ。先週には数十名のネスト社員がグーグルに移籍し、IoTプラットフォームに関わる業務を開始した。

ベロンによると、今後ますますネストとグーグルのこの分野での協調は進化していく見込みだという。「2社が連携を深めることで、顧客らにより良い機能を提供したい」と彼はインタビューで述べている。

ネストに関しては最近、企業運営に関するごたごたが取り沙汰されてきた。ネストの創業者のトニー・ファデルは、ニュースメディアInformationが社内の内情の詳細を暴露する記事を掲載した直後の今年6月に会社を去った。

ネストは2014年にセキュリティカメラメーカーのDropcamを5億5,500万ドル(約564億円)で買収したが、Dropcamの創業者のグレッグ・ダフィーとアルミール・ビラニらはファデルの経営方針に不満を募らせていたという。ダフィーはファデルの人柄を「独裁的な官僚主義者」と述べており、事業の前進を妨げたと評していた。

その後、元モトローラ・モビリティ社の副社長のMarwan FawazがネストのCEOに着任し、彼の配下で事業は順調に進んでいるようだ。Fawazはネストに参画後すぐに同社の屋外セキュリティカメラ部門を立ち上げ、ソフト面での改善もスタートした。今回の動きもその一貫と見られている。

編集=上田裕資

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