所有者の「想像できるすべて」を叶えるロールス・ロイス[クルマの名鑑 vol.1]

photograph by Tsukuru Asada (secession)

ロールス・ロイスと聞けば、誰もが“高級車”と思い浮かべるだろう。実際、“The Bestー最高”という賛辞がこれほど似合うクルマはない。「最高のものを選び、さらに改良しなさい。最高のものがなければ、生み出しなさい」というヘンリー・ロイス卿の言葉は、創業から110余年が経った今でも色濃く受け継がれている。

フラッグシップの「ファントム」は、「最高の中の最高」といえる存在だ。垂直にそびえ立つパルテノンとしなやかな肢体を投げ出すスピリット・オブ・エクスタシーが、このクルマの顔立ちを独特なものにしている。コーチドアを開けると、厚みのあるカーペットと上質の革を奢ったシートが出迎える。アクセルを踏み込むと、6.7LのV12エンジンから460ps/720Nmもの大出力がデリバリーされ2.5t級の巨体を滑らかに押し出す。“Waftability=浮遊感”という言葉、ロールス・ロイス特有の“ふわり感”のある乗り味を表す造語そのものの感覚だ。

本来がショーファードリブンを旨とするゆえに、後席の乗り心地も重要だ。上質なウッドに象嵌を施した装飾が美しく、ただ広いだけではなく、ほどよい囲まれ感がある。さらにビスポークによって、望みの空間に仕立てることができる。冷えたシャンパンを望めばグラスを、シガーを嗜むならヒュミドールを、そうした要求に応えることこそがロールス・ロイスの真骨頂なのだ。

オーナーが望みを持つほどにロールス・ロイスは進化する。そして顧客の想像力が尽きない限り、その進化に限界はない。

[DATA]
駆動形式:後輪駆動
全長:5,840mm
全幅:1,990mm
全高:1,655mm
価格:¥51,670,000(税込み)

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text by Yumi Kawabata、edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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