世界で唯一の女系ブランド? 「茶目っ気」あふれるフェンディの魅力

左:ニット239,000円、右:ニット71,000円(すべてフェンディ/フェンディ ジャパン:03-3514-6187)

8人
ブランドを支えてきた女性の数

ファーアイテムで有名な「フェンディ」の名声は、8人の女性たちによって築きあげられてきたものだ。“偉大なる母”と呼ばれる創業者アデーレ・フェンディの魂は、その娘、孫、曾孫へと受け継がれている。

女性が起業したファッションブランドは数多く存在する。しかしながら約1世紀ものあいだ、女性が経営とクリエイションの両方で、その中心的役割を担ってきたところは「フェンディ」をおいてほかにない。それは、2001年にLVMHグループが、同社の筆頭株主となっても変わることはない。

ファッションは、そのほとんどが女性のために存在するものだ。彼女たちが求めるのは実用性だけでなく、「可愛らしさ」「茶目っ気」「豪華さ」などの主観的、または客観的要素が大きい。その欲望の形は、同ブランドのヒット商品をヒモ解けば理解できる。

現在「フェンディ」のメンズラインは、女性のシルヴィア・フェンディが手がけている。男のワードローブでありながらも、どこかに「可愛らしさ」と「茶目っ気」が入っているのは、至極当然のことなのだ。

世界で唯一? の女系ブランド

1926年フェンディ夫妻によって作られたハンドバッグは、馬具職人から受け継いだ手法を駆使したもので、その柔らかさと上品さから、たちまち巷で評判となった。その功績を支えたのが“偉大なる母”と呼ばれるアデーレ・フェンディ。女性特有のきめ細やかなデザインや縫製は、その後5人の娘へと受け継がれていく。50年代には、ファーアイテムを集めた初のカプセルコレクション「アモーレ」を発表、ファーにおいても世界のトップへと成長を遂げる。現在は、アデーレの孫シルヴィアがメンズ部門を手がける。家族経営で、しかも長きにわたって女性たちがクリエイションを手がけるブランドは、「フェンディ」をおいてほかにない。
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編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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