「自動ブレーキ」性能に大きなばらつき、全米自動車協会が警告

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普及が進む「自動緊急ブレーキシステム」の設計や性能には、非常に大きなばらつきがあることが確認された。全米自動車協会(AAA)によると、自動車に搭載されている「衝突回避」と「衝突被害軽減」の装置はそれぞれ、走行中に作動させたときの機能に大きな違いがある。このためAAAは、消費者はその違いを十分に理解することが重要だと警告している。

AAAが8月24日に公表した報告書によれば、同協会と南カリフォルニアオートモービルクラブの研究機関が共同で実施した試験の結果、衝突回避を目的に設計されたシステムは、衝突被害軽減を目指すシステムよりも走行中の車両を減速させる性能が2倍近く高いことが分かったという。

AAAは「自動ブレーキシステムは衝突を完全に回避するよう設計されたものではない」して、利用する前に同システムの限界を十分に理解しておく必要があると呼び掛けている。

「自動緊急ブレーキシステム」は、ドライバーがブレーキを踏まず衝突が避けられない状態となった場合、車両が自動的にブレーキを利かせる安全技術。米国では近い将来、99%の車に標準装備されるようになると予想されている。

誤解も多い「自動」ブレーキ

AAAの発表文によると、今回の調査では「自動ブレーキ技術を認識している米国人のうち3分の2が、自動緊急ブレーキシステムはドライバーの意思に関わらず、衝突を回避するものだと考えている」ことが分かった。しかし、実際にはそれぞれの装置によって性能に大きな差があり、多くは走行中の車を停止させるものではないという。

調査で明らかになった主な点は、以下のとおりだ。

・ 衝突回避システムの場合、作動により走行中の車の速度は79%低下した。だが、衝突被害軽減システムの場合、減速の割合は40%だった(2 倍近い差がある)。
・ 48km/h以下での走行試験では、衝突回避システムは60%の割合で衝突を避けることができた。
・ 減速させる性能しか持たないシステムが衝突を回避できる割合は、33%だった。
・ 73km/hで走行中に停止している車両に接近したとき、衝突回避システムは速度を74%落とし、40%の割合で衝突を回避した。一方、衝突被害軽減システムは走行速度をわずか9%落としただけだった。
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編集 = 木内涼子

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