ビジネス

2016.08.20

29歳女性起業家の「食材宅配サービス」Gobble、10億円調達までの道のり

Luis Castro / shutterstock.com

フォーブスの「30アンダー30」(30歳以下の30名)にも選ばれたことのあるOoshma Gargはスタンフォード大学3年生のとき初めて起業した。彼女は求人サービスのAnapataを成長させるべく、寮の一室で出来る限りの時間をつぎ込んだが、彼女が求めていたものとは違った方向に進んでしまった。

スワヒリ語で“達成”を意味するAnapataを立ち上げたのは、様々なバックグラウンドを持つ大学生が大手企業で仕事を見つけられるようにするためだった。しかし、大学生と企業をうまくマッチングするというより、企業のダイバーシティを示す数字を上げるために利用されてしまったのだ。

「スタートアップはお金を払ってくれる人がどんな人であるかで決まります。会社は儲かっていましたが、心は満たされませんでした」とGargは語る。

スタートアップの運営と大学生活を両立する中で、Gargはジャンクフードやテイクアウトに頼る日々が続き、健康を損なってしまったという。Gargが育った家庭は手料理が重んじられた絆の固い東南アジア系の家庭だ。家族は彼女を心配し、父親がスーツケースに食料を入れて飛行機で彼女のもとを訪れたこともあった。

2011年に法律事務所LawWerxにAnapataを売却したGargは、すでに2つ目のスタートアップに取り掛かっていた。食材宅配サービスGobbleだ。29歳のGargが、フォーブスのポッドキャスト番組「Million$」でその体験を語ってくれた。

Gobbleの始まりは、Gargが8ドル(約800円)で手料理を出前してくれるシェフをクレイグリストで募集したことだった。即座に70人から返答があったという。5年前は今や数十億ドル規模の市場になっている食材宅配は新しかった。Gargはまだ車の中で出前を食べている時期にシードラウンドで120万ドル(約1億2,080万円)を調達した。

同社が他の食材宅配サービスと一線を画している理由は、そのシンプルさとターゲット層だ。Gobbleが提供するのは、3ステップで10分以内、しかもフライパン1つで調理できる食事。準備や後片付けもいらない。

支持者層はミレニアル世代の食通ではなくファミリー層であり、特に共働きの家庭だ。人気メニューは海老を白ワインとガーリックバターで炒めるシュリンプスキャンピーや香辛料に漬けた鶏肉を焼いたチキンティッカなど、心が満たされるものが上位を占める。食材は新鮮な地元産のものを使っている。

Gobbleは2015年10月、Trinity Ventures が主導したシリーズAラウンドで1,075万ドル(約10億8,000万円)の調達に成功した。名門VCアンダーセン・ホロウィッツも出資している。Gargは「Million$」で若い女性としての資金調達の難しさや、女性起業家が直面しがちな性的差別についても言及している。

編集=上田裕資

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