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2016.08.17

「病気のリスクを軽減させる運動」とは、どれほどのものか?

Halfpoint / shutterstock.com

運動が多くの病気や不調のリスクを軽減させることは、もはや議論の余地はない。問題は、どのような運動を、どれだけするべきなのか。

各保健機関や政府が呼びかけている標準的な水準は、1週間に適度な運動を150分、あるいは激しい運動を75分というもの。しかし新たな研究報告は、少なくとも病気を予防するためには、それよりもっと多くの運動が必要かもしれないとしている。

だが嬉しいことに、犬の散歩や床掃除などの日常的な活動も、運動のうちに数えることができるという。

英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表されたメタ分析は、「活動量の増加によって病気のリスクはどう変化するのか」という、これまで完全には解明されてこなかった問題を検証するために行われた。

運動の強度は一般に、代謝当量(METs=安静時の代謝量を基準とした運動強度)という単位で測定される。たとえば150分の適度な運動、あるいは75分の激しい運動は、600METs/週に相当し、世界保健機関(WHO)は週に600METs以上の運動をすることを推奨している。

研究チームは、運動だけではなく「全ての活動」を考慮に入れた調査を行いたいと考えた。そこで彼らは、病気のリスクに関する過去の174件の研究データや、ガーデニングや階段を上るなどを含むあらゆる活動についてのデータを検証した。

その結果、600METs/週の運動量では、乳がん、結腸がん、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性脳卒中の5つの病気のリスクに、ほとんど影響がないことを発見した。たとえば週600METsの運動をしている人と全くしていない人の糖尿病リスクについては、2%しか差がなかった。

だが運動量を大きく増やした場合は、乳がん、大腸がん、糖尿病、心臓病と脳卒中のリスクの大幅な低減と関連づけられた。

たとえば研究に参加した中で最も運動量が多かった人(少なくとも8,000METs/週)は、最も少なかった人(600METs以下/週)に比べて、乳がんのリスクは14%、結腸がんのリスクは20%、糖尿病のリスクは28%、心臓病のリスクは25%、脳卒中のリスクは26%低くなった。
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編集=森 美歩

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