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2016.08.14

ラスベガス不動産王が教える、日本人の不動産投資失敗パターン

Appleton Propertiesの代表取締役社長、フィリッペ・ジアード氏


谷本:日本人をはじめ、外国人がアメリカの不動産への投資を検討する際、どのような点に気をつければ良いでしょうか?

ジアード:日本の投資家は、将来的な利回りにばかり目が行ってしまう人が多い印象です。失業率や原油価格などの投資に重要な数値を見ないまま、現地の人ですら知らないような僻地にある物件に投資したり、コンドミニアムが乱立しているような地域の物件を買ってしまったり、投資に適さない物件を購入してしまうケースも見受けられます。

誠実な投資物件販売者であれば、空室率や固定資産税、家屋修繕費用も見積りますし、天災リスクのある地域であれば家屋保険が高額になることも説明します。

しかし日本では、これらの費用を除いた純利回りを提示していない投資物件が多々あります。提示された利回りは、全ての諸費用やリスクを含めたうえのものなのか、投資する前にしっかりと確認したほうが良いでしょう。

谷本:成功する投資家のマインドセットはありますか?

ジアード:成功するために最も重要なことは「謙虚さ」です。一度だけ成功するのは簡単ですが、成功し続けるためには謙虚さを持つことが重要なんです。また、一緒に働くメンバーやビジネスパートナーに対し、良いニュースだけでなく悪いニュースもシェアできる「透明性」と「正直さ」を持つ人間関係を築くことも大切です。この3つが揃った時に成功できるんだと思います。

不動産投資においても、1つのプロジェクトで自分が最大限に利益を得ようとするのではなく、関わった人たちと長期にわたるパートナーシップを築くことを念頭に置くべきです。アメリカの不動産開発や投資に関わる人たちの中には、残念ながら同じプロジェクトメンバーの犠牲も厭わず、最大限の利益を得ようとする人が数多くいます。

ビジネスには関係ないと思われるかもしれませんが、ビジネスパートナーに対する愛が必要なんです。愛を持って接することで、1つのプロジェクトで成功するに留まらず、長期的なリレーションシップを保つことができ、結果的に再び別のプロジェクトで成功をおさめることができるようになります。

私は何も特別なことをしたわけではありません。昔から大切だと考えている謙虚さや正直さ、透明性、愛をもって不動産投資ビジネスに関わってきたに過ぎません。

人を愛するだけでなく、自分のやっていることも愛することで、自分に自信を持つことができます。みんなを幸せにするためには、自分自身もハッピーである必要があります。だから、全ての成功には愛が必要なのです。

谷本:本日は貴重なお話をありがとうございました。

フィリッペ・ジアード◎Appleton Properties CEO。2013年、ウォール・ストリート・ジャーナルが選ぶ「全米不動産ビジネスパーソン250」において13位を獲得。ラスベガスにおいて1位のアメリカ不動産王。自らエンジニアの資格を持ち、開発からプランニングを手がける。過去には大手開発会社責任者を務め、総額2000億円以上の開発プロジェクトを成功に導く。

問い合わせ先:ニッケイ・グローバル株式会社
Email info@nikkeiglobal.com

インタビュアー=谷本有香 構成=筒井智子 写真=藤井さおり 協力=ニッケイ・グローバル

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