英テック業界に深刻な「技能ギャップ」? 平均年収も米都市の6割

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欧州の他のどの国よりも、テクノロジー業界のユニコーン(評価額10億ドル、約1,024億円以上の非上場ベンチャー企業)が増加している英国は、同地域のテクノロジー・ハブと考えられている。

英国はまた、主要20か国・地域(G20)の中でも、国内総生産(GDP)比でみれば最大のデジタル経済だ。だが、この分野で求められているスキルに関する需要と供給の問題でいえば、警戒すべき状況が生じている。

求人情報サイト、ハイアード(Hired)が先ごろ公開した報告書は、英国のテクノロジー業界における人材とスキルに関する現状を示すと共に、企業は今後の成長のため、求める人材と現状との隔たりをいかに解消していくべきかについて明らかにしている。

報告書によれば、従業員らが持つスキルと、雇用主が求めるスキルの間には大幅なずれがある。特にそれが目立つのは、データ、セキュリティー、ユーザインターフェイス(UI)、ユーザエクスペリエンス(UX)の主要4分野だ。また、パイソン(Python)、デブオプス(DevOps)、ルビー(Ruby)も、人材の需要が非常に多い一方で、スキルを習得している人が少ないと指摘されている。




さらに、英国のブレグジット(EU離脱)が決定した今、この国のテクノロジー業界で働く3人に1人が欧州の別の国の出身者だという事実は、憂慮すべきことだという。「デジタル大国」であるという英国の立場はこれまで、英国出身でこれらのスキルを持つ人材の不足を、外国人労働者に補ってもらうことで成り立ってきたのだ。

米4都市を下回る賃金水準

報告書はこのほか、コンサルティング会社EYのデータに基づき、ロンドンは現在、サンフランシスコに次いで、テクノロジー業界の大手企業が誕生する可能性が2番目に高い都市に位置付けていると紹介している。
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編集 = 木内涼子

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