ビジネス

2016.07.31

米ヤフー「残留資産」の行方 アリババの子会社化説も浮上

(Photo by Alex Wong/Getty Images)

中核事業の売却を決めた米ヤフーにとって、今後の大きな課題は、残された資産の処分だ。同社は7月25日、電子メールやニュース、タンブラーなどの事業をベライゾンに48億3,000万ドル(約5,100億円)で売却すると発表した。売却後もヤフーは上場を継続する予定というが、新会社は社内で「Remain Co.」(残留会社)とのニックネームで呼ばれている。

事業売却後も同社は巨大な資産を保有する。ヤフーは中国アリババグループの株式を15%保有するほか、ソフトバンクとの合弁事業であるヤフージャパンの株式を35.5%保有し、これらの価値は400億ドル(約4兆2,000億円)に達する。

株式の売却益を期待していた投資家は落胆するかもしれないが、ヤフー取締役のトム・マキナニーは、「非課税での売却ができない限り、株式は無期限に保有し続ける」と述べている。

マキナニーによると、現在のヤフーにとっては課税前の資産価値を維持することがゴールだという。ヤフーが保有する株式の資産価値はここ数年で大幅に増え、売却すると数十億ものキャピタルゲイン税が発生することになる。こうした事態を避けるため、ヤフーは昨年「Aabaco Holdings」という新設会社を設立し、スピンオフさせることで保有株を分離し、Aabaco Holdingsの株式をヤフー株主に分配することを試みた。

巨額の株式売却税をどう処理するか

しかし、米内国歳入庁(IRS)はこの取引きを非課税扱いとして認めず、CEOのマリッサ・メイヤーが描いた株主への現金配当計画は中止に追い込まれた。

アナリストらは、アリババ株の評価額があまりにも高騰したため、売却益に対する課税を逃れることは難しいと分析する。「ヤフーに残された選択肢は、歯を食いしばって税金を支払うか、アリババやヤフージャパンの株式を保有するクローズドエンド型投資信託のような形で存続することだ」と北京大学光華管理学院で会計学を教えるポール・ギリス教授は話す。
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編集=上田裕資

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