テクノロジー

2016.07.29 15:00

ITで人々の生活と働き方を変えていく![ウーマン・イノベーターズ03]


Q4. どんな学生時代を過ごされましたか? 熱中していたこと、その頃からビジョンを描かれていたかなど、お教えください。

両親とも教員という家庭に育ち、先生になる道を与えられて育ちました。20代半ばまでは、自分にチャンスがあふれているなんてことは思ったこともなく、特別面白いことが将来待っているなんて思いもしない、地方の学生だったと思います。

鹿児島の田舎を転々として育った私はいつも自分が異質なものとして扱われていたように思います。そのせいか、子供の頃は、なにをやっても受け入れられないような環境、すべて「あいうえお」の世界の中で生きていたように思います。「あいうえお」というのは私の著書に詳しく書いている、「あ:あきらめ、い:言い訳、う:後ろ向き、え:遠慮、お:思い込み」です。

ただ、他の人と違うのは、父親が教育者でありながらも相当な変わり者で、異動の際に赴任希望地をいつも空欄で出したため、僻地を転々とし、15歳から妹と2人で一軒家を与えられて自立した生活を送っていたことだと思います。

15歳で固定資産税なども含め、社会で生きてゆくのにかかるお金を学ばされました。銀行のカードを持ち、生活に必要なお金は自分の考えで予算立てし、お金を引き出し、支出報告を行うという少し変わった子供時代でした。早くに“大人”の生活を求められていたせいか、逆にほとんど大きな夢など持たないのが“大人”だと思っていました。

Q5. キャリアや人生を形成するにあたり、影響を受けた人、もの(こと)はなんですか?

影響を受けたのは父です。父は、同じ環境・同じ状況にとどまる事を非常に嫌う人間でした。

もう一つは、インド時代の経験です。マザーテレサの施設で1年間研究を行っていたことは、間接的に今の生き方や事業の礎となっています。マザーテレサは実は偉大な事業家です。人のために生きる姿勢はもちろん、リーダーシップをもった組織作りの形としても役に立っています。

そして、起業してからは多くのメンターに恵まれていると感じます。年齢も業種もさまざまです。以前、APECの女性起業家の会で、ある女性リーダーが「ロールモデルはポートフォリオでいい」という発言をされて以来、私もそれを周囲に伝えるようになりましたが、影響を受ける人、ロールモデルとする人は多いほうがいいと思います。

Q6. 仕事や人生における信条、座右の銘を教えてください。

3つあります。まずは、「見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい」というガンジーの言葉です。これは私の人生そのものの言葉。私が望む未来は私が創る。でもそれは常に途中であり、自分がそこに身をおくことで未来が開ける。というイメージです。

もう一つは「早く行きたければ、一人で行きなさい。より遠くへ行きたいのであれば、みんなで行きなさい」というアフリカの諺です。どれだけ多くの人の共感を呼べるのか、エネルギーを引き出していけるのかがこれからの時代の動き方だと思っています。

そして、三つ目は「且緩々(しゃかんかん)」という禅語。“どの道も、急いで極めることはできません。まあお茶でも飲んで落ち着きなさい”という意味で、スピード、スピードと言いがちな自分と社会への言葉だと思っています。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

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