YouTubeの著作権管理システムは「コンテンツID」と呼ばれ、著作権侵害のコンテンツを自動検出する。著作権者は違法コンテンツを削除するか、広告が表示されるようにして収益を受け取るかを選択する。
グーグルは「ほとんどの著作権者が収益化を選択しており、これは権利者がこのシステムに満足していることの表れだ」としている。グーグルの著作権担当のキャサリン・オヤマは「著作権者の95%が違法コンテンツを削除せずに、収益化することを選んでいます。音楽業界がYouTubeから得ている収入の半分が、コンテンツIDで検出された(カバーやリミックスなどの)違法コンテンツから来ています」と言う。
「著作権を侵害しているコンテンツを自動検出して著作権者が収益化できるシステムはYouTubeにしかありません」とオヤマは主張するが、音楽業界は「公正な金額を得ていない」と抗議している。
国際レコード産業連盟(IFPI)は「グーグルのコンテンツIDが違法なコンテンツ視聴を防げていないことは明白です。コンテンツIDは20~40%の楽曲を正しく認識できていません」との声明を出した。
テイラー・スウィフトも問題視する「条項」
また、グーグル検索によって違法コンテンツにたどり着くケースも多いとIFPIは指摘する。
「IFPIはグーグルに対し、これまで3億件を超える削除要請を行ってきました。にもかかわらず、グーグルで音楽関連のキーワードを入力し、違法コンテンツにたどり着く回数は、以前よりも増えています」
さらに、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の改正も必要だという。YouTubeや同様のサイトは違法コンテンツを載せていても、著作権者の削除要請に応じる限り「責任を問われない」という条項がある。6月にはテイラー・スウィフトからポール・マッカートニーまで180人のパフォーマーや作曲家などがこの条項の廃止を嘆願する活動を開始。米議会に宛てた請願書を、有力メディアに広告として掲載した。
YouTubeはアーティストに対する支払いを引き上げるべきだとEU(欧州委員会)に訴えを起こす著作権者も出てきた。彼らはスポティファイやネットフリックスなどのサービスにも、ラジオ局と同様のロイヤリティの支払いを義務付けるべきだと主張している。