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2016.07.15

テスラ株は「今」手放すべき? 警戒を要する3つの問題

Gary Waters / gettyimages

電気自動車(EV)メーカー、米テスラ・モーターズには、企業統治に関する大きな問題点がある。その問題はここ数週間、株式市場で富を得ている人たちにも自分たちと同じようにテスラを愛してもらいたいと望む人たちの心に、暗い影を落としている。

テスラに関するこれらの問題は、私たちに根本的な疑問を抱かせる。公開会社には、制御不能なCEOから株主を守る取締役会が必要なのではないだろうか──?

「天才起業家は、自身より劣る人間たち(取締役たちの中にもいるかもしれない)から制約を受けるべきではない」と考える人もいるかもしれない。だが、取締役会は理論上、成長戦略と経営手腕の獲得に向けた投資を承認することにより、リスクを減らし、利益獲得の機会を捉えて、株主のために行動する人たちだ。

テスラのイーロン・マスクCEOは確かに、世界でも屈指の素晴らしい起業家だ。オンライン決済のPayPal、テスラ、宇宙開発企業スペースXの創業者であり、いとこがCEOを務めるソーラーシティーの会長でもある。

しかし、それでもテスラは深刻な問題を抱えていると考えざるを得ない。その具体的な理由は、以下のとおりだ。

1. 28億6,000万ドル(約2,980億円)規模の「ソーラーシティー」買収

戦略的にみても、財務の面からみても、筋の通らない話だ。買収提案の内容は、利益の出ていない異業種の2社を統合させるもの。両社の業績や今後の展望の改善につながるような、有意義な協働を生むものではない。

テスラ車のオーナーの間には、太陽電池で走る車を望む声もあるかもしれない。それでも、そのためにテスラがソーラーシティーを買収する必要はないはずだ。

さらに、両社のキャッシュフローがいずれもマイナスであり、多額の負債を抱えていることを考えれば、買収価格は高額すぎるといえるだろう。

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編集 = 木内涼子

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