彼らの所属レーベルの役員は「アメリカ人たちにしてみれば、バックストリート・ボーイズの再来みたいなものかな」と肩をすくめて言った。中性的な魅力を放つ5人組は今、韓国のK-Popを代表する存在として世界のエンタメ市場を制覇しようとしている。
ビッグバンは昨年、4,400万ドル(約44億円)のツアー収入を記録。米国で最も稼ぐ男性バンド、マルーン5のツアー収入、3,350万ドルを軽く上回った。
「マルーン5よりも僕らが稼いでいるとは知らなかったよ」とフロントマンのG-DRAGONことジヨン(27)は話した。「お金のことは全部母親に任せているからね」
ビッグバンの所属元は市場価値630億円
ビッグバンを現在の人気に押し上げたのは、90年代に「ソテジワアイドゥル」の一員として活躍したヤン・ヒョンソク(46)が運営するYGエンターテインメントグループだ。YG社は現在、市場価値6億3,000万ドル(約634億円)の上場企業で、レーベル運営のほか、タレントの育成やコンサート事業を手がけ、最近はファッションや映画制作にも進出した。YG社は、ビッグバンの所属元という枠を超え、K-Popを世界に広める役割を担っている。
YG社の少女グループ2NE1(トゥエニィワン)は世界中のアリーナを熱狂させ、アディダスのCMではニッキー・ミナージュと共演した。カンナムスタイルで知られるPsyもまた同社の所属で、彼らが達成したYouTubeでの再生回数26億回という記録は、未だ破られていない。彼らはネットの口コミの力だけで、世界的人気を獲得した。10年前なら考えられなかった事態だ。
YG社の売上は今年、2億5000万ドル(約252億円)に達しようとしている。「昔は音楽の流通には地域的制約があったが、デジタルの時代になって国境は無くなった」と創業者のヤンは語る。
韓国には1950年代から米軍が駐留を開始し、米国のロックが強い影響を与えた。その後、ヨーロッパのダンスミュージックや米国のヒップホップが普及し、韓国の歌謡曲の影響も受けつつ、現代のK-Popにつながる音楽シーンが形成された。80年代に高校時代を過ごしたヤンはマイケル・ジャクソンや.米国の音楽番組「ソウル・トレイン」の影響を受けて育った。