iPhoneのヘッドフォン端子廃止で、メーカー向け「対応キット」が発売 

Photo by Andrew Burton/Getty Images

アップルは次期iPhoneで従来の3.5ミリのヘッドフォンジャックを廃止し、ライトニング端子のみにするとの観測が高まっている。これが実現すれば、ヘッドフォンメーカーらはアップルのMFi(Made For iPhone/iPad/iPod)認証に適合した製品をつくることを求められる。

6月29日、アップル向けにオーディオ機器を提供する企業Cirrus Logicは、他企業がMFi認証対応機器を製造するための開発者キットを発表した。このキットは製品の製造にあたってのリファレンスや、開発をシンプルにする製造ボードを提供する。

アップルが本当に従来のヘッドフォン端子を廃止するかどうかはまだ未確定だ。しかし、Cirrus Logicのソリューションは注目すべきものと言える。テキサス州オースティンに本拠を置く同社は、収益の70%以上をアップルから得ているという。

アップルのヘッドフォンジャック廃止に関しては反対の声もあがっている。ニュースメディアVergeのNilay Patelは「アップルが製品を、わざわざユーザーの望まない形に変更するのは非常に残念だ」と述べた。

Patelは今回のアップルの動きは、ユーザーにデジタル音源のみを提供することで、これまでより厳しい著作権管理を実現するものだと分析する。しかし、この手法は違法に音楽を聞いていた一部のユーザーを締め出すよりはむしろ、大部分の合法的な音楽リスナーらに大きな不利益をもたらすという。

ただし、ヘッドフォンジャックの廃止にはメリットもある。その一つは従来よりもiPhoneを薄くできる点(たった1ミリではあるが)。また、ウォール・ストリート・ジャーナル等も、これによりiPhoneの防水性が向上すると指摘している。さらに、ライトニングポートを通じて、外部アクセサリへの給電も可能になる。

MFi認証対応のヘッドフォンは全く新しい製品という訳ではない。2014年にアップルは初のライトニング対応のヘッドフォンをリリースした。それ以来、JBLやフィリップス等の大手メーカーらが対応製品を発表していた。ただし、いずれのメーカーも、さほど本気でMFi認証に対応してこなかったのが現実だ。しかし、今やメーカーらはこの規格への対応が必須となった。そのような背景から生まれたのが、今回のCirrus Logic社の開発キットだと言える。

編集=上田裕資

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