英国人ジャーナリストが見た「中国のミレニアル世代」の特徴 

中国の若者たちは多様性を増し、富と情報にアクセスできるようになった一方、社会的、経済的なプレッシャーに悩まされている。

北京在住の英国人ジャーナリスト、アレック・アッシュは第一作となる著書『灯りを求めて:新たな中国に生きる若者たち(Wish Lanterns : Young Lives in New China))を出版し、中国の若者について深く切り込んだ。

アッシュは自身と同世代の1980年代後半生まれの6人の中国人の生活を、丹念かつユーモラスに描写した。4年間の取材によって中国の多様性をあぶりだそうと試みたアッシュに、北京で取材した。

――執筆の動機は?

私は22歳の時に北京にやってきたが、周囲の同世代の中国人については、まだ正確に語られていないと感じ、リアルな姿を紹介したいと思った。

――長期にわたる取材で中国のミレニアル世代をどう理解しているか。

彼らは古い中国と新しい中国の過渡期にいる“くさび世代”だと思う。中国の今後の変化を決定する彼らを理解することは、極めて重要だ。一方で中国の10代と20代の人口は3億2,000万人に達しており、ひとくくりに論じるのは不可能だ。だから私は著書で1985~1990年生まれの6人にフォーカスした。

彼らはさまざまなバッググラウンドを持つ全く異なる個人だが、まれに共通した点を見せる。私は彼らに深く入り込み、その多様性を明らかにした。

――中国のミレニアル世代の特徴は?

3つの特徴がある。1つ目は自己陶酔的で、甘やかされ、消費好きというネガティブな評価だ。2つ目は中国の若者は過度に愛国主義であるというもので、3つめはアイデンティティに欠け、西洋を模倣したがるという点。しかし、これらの特徴はどれも表面的なものだ。

私は中国の若者が社会に無関心だという陳腐な言われ方にも異を唱えたかった。込み入った政治に関心の薄い人物もいるが、それは無関心と同義ではない。彼らは非常に思慮深く、現代社会に参与しており、しばしば批判的な態度も見せる。ミレニアルは中国の未来に関心がないという使い古されたコメントは真実ではない。

――この本の登場人物は職業から政治まで様々な不満を抱えていますね。

若い世代は旧世代との間に大きなジェネレーションギャップを感じており、そこから生じる不満も大きい。中国の若者は社会の規範に沿った振る舞いを求められるが、それに対する反発も大きくなっている。

中国は100年に渡り社会と経済の変化が続いており、その結果、親子の価値観には大きな隔たりが生じている。彼らが世代間で距離や不満を感じるのは当然だ。

――6人の共通点は。

彼らは自身と社会の両方に対し変化を求めており、それと同時に避けられない壁にぶつかり、妥協するしかないと感じている。しかし、彼らの楽観的な姿勢が今後の中国を形づくっていくと考えている。

編集=上田裕資

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