「僕がバスキアの絵を62.4億円で買った理由」ZOZOTOWN前澤友作

スタートトゥデイ代表取締役 前澤友作氏とAKI ISHIZAKA代表取締役社長 石坂泰章氏。アートは左から、「dollar sign (1981) ANDY WARHOL」「JULY 4, 1980 (1980) ON KAWARA」「Untitled (1999) MARK GROTJA」(photographs by Takashi Yoshida)

5月10日、NYで開催されたクリスティーズイブニングオークションセール「Post War & Contemporary Art Evening Sale」で、バスキアの作品を約62.4億円で落札したZOZOTOWN運営会社代表の前澤友作。前サザビーズジャパン社長の石坂泰章とともに、その日を振り返る。

―このたびはジャン=ミシェル・バスキアの『UNTITLED』、落札おめでとうございます。

前澤:ありがとうございます。

―まず、落札した日のことを振り返っていただけますか。

前澤:はい、その日、僕はオークション会場にはいなかったんです。当日は会場内に代理人を置いて、代理人経由で電話入札しました。

石坂:私もたまたま会場にいたんですが、『UNTITLED』はこのオークションで一番注目されていた作品であり、3,200万ドルからスタートして、あっという間に4,000万ドルを超えたんです。会場は物音ひとつせず、咳払いも聞こえず、緊迫していました。そして競り合いののち、前澤さんが5,728万5,000ドル(約62.4億円、手数料込み)で落札してハンマーが叩かれた瞬間、割れんばかりの拍手が起きました。

―何人ぐらいで競ったのでしょうか。

前澤:正確にはわかりません。でも4,500万ドルを超えたぐらいから1対1でした。

―相手が誰かはわかるのですか?

前澤:いいえ。ネットの生中継で誰が手を挙げているのかが見えるんですが、相手の方もクリスティーズの代理人を通して入札していたので、ご本人がどなたかはわかりません。

―落札した瞬間、どのような感慨が?

前澤:素直にやった!という感じです(笑)。周りにいたスタッフ全員とハイタッチして、喜びました。

―オークションというのは、すべての出品作品を事前に直接見ることのできる“プレビュー”というのがあるそうですね。

前澤:ええ、オークションは1日限定ですが、プレビューは何日間か設定されているので、それを見に行きました。

―石坂さんと行かれたのですか?

前澤:いえ、会場で偶然お会いしました。

石坂:前澤さんも私もそうなんですが、真のコレクターというのはカタログだけでは判断しません。自分の目でサイズによるインパクトや、作品の状態を確認して決めるものなんです。
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編集=堀 香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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