自動運転車をめぐる11社の事業戦略〜自動車メーカー編〜

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ダイムラー

ドイツのダイムラーは、自動運転車の分野のパイオニアとされており、ウェブサイトでも関連情報が多く紹介されている。主にメルセデス・ベンツ・ブランドに力を入れているようで、既に乗用車とトラックの試作車が生産されている。2015年5月には初の自動運転トラックが公開された。乗用車についてはEクラスに重点を置いて試験が行われているようだ。

これら全ての要素から、同社は自社製の車に商業規模で自動運転技術を組み込む準備ができており、あとは公道での走行を可能にする法的枠組みが整備されるのを待っているだけであることが伺える。

フィアット・クライスラー

フィアット・クライスラーは、自動運転車の市場参入を急いでいないようだ。2015年3月にはセルジオ・マルキオンネCEOが、主に開発費を理由に挙げ、自動運転車を提供する差し迫った計画はないと明らかにした。だが2016年4月、同社は自動運転車の技術開発でグーグルと提携。2020年には自動運転車が市場投入されるだろうと示唆した。

グーグル側は一定の距離を置いており、提携はクライスラーのパシフィカ・ハイブリッド100台を試験車両として生産する目的の限定的なものだとしている。自動運転車の分野における野心が限定的なフィアット・クライスラーは「グーグルにとって完璧なパートナー」と言われている。

テスラ

最も歴史の浅い自動車メーカーでありながら、今や自律走行車の分野を率いる存在。2015年10月に限定的な自動運転機能を搭載したモデルを、既存モデルのソフトウェアをアップデートする形で提供開始。同社のモデル3は大衆市場に出た初めての全自動運転車の可能性があり、同社は既に競合他社よりもかなり優位な立場にある。

ボルボ

自動運転車の開発では最も進んでいるボルボは、テスラなどの競合の技術については「なんちゃって自動運転」だとしている。ボルボは2017年に全自動運転車の大規模な試験走行を行う予定で、それによっていかなる事故が発生した場合でも全面的に責任を取るとしている。

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編集=森 美歩

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