リンクトインの身売りがソーシャルメディアの今後に及ぼす影響

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ビジネス向けSNSリンクトイン(LinkedIn)が先週、262億ドル(約2.7兆円)でマイクロソフトに“身売り”した。この買収により、なぜマイクロソフトがソーシャルメディア事業に参入したのか、ソーシャルメディアの未来が変わるのではないかという疑問が浮上している。

今回は、リンクトイン買収の背景とソーシャルメディア界全体にもたらし得る影響を検証する。

買収の理由は?

マイクロソフトがリンクトイン買収を決めた主な理由は、同社が成長産業のビジネスを必要としているからだ。ツイッターやフェイスブックは規模が大きすぎて買えない、または相手側に売却の意思がないため、リンクトインが最も理にかなった選択となった。

それだけではない。リンクトインのデータベースを活用したり、機能を自社製品に活かしたり、リンクトイン傘下のオンライン学習サービス会社リンダ(Lynda)を通じた事業をするなどもその理由に挙げられる。

しかしマイクロソフトが今後、リンクトインの業績を上向かせるのは簡単なことではない。SNS大手の一つではあるものの、リンクトインは依然としてユーザーの拡大にも、ユーザーのアクティブ率においても苦戦している。

ソーシャルメディアが苦慮する「収益化」

各ソーシャルメディアは常にサービスの収益化に苦心している。リンクトインもこれまでにさまざまな新機能を試してきたが、インフルエンサー(各業界のリーダー)をフォローできるサービスやマスマーケティング・キャンペーンなど一部の試みは失敗に終わった。

業界横断的な買収はトレンド?

リンクトインの身売りが招いた興味深い結果の一つが、ツイッターの株価上昇だ。この理由について一部には、ツイッターが身売り先を見つけられる可能性が高まったと株主たちが確信したからだという憶測がある。

今回の展開を受けて、類似はしているものの異なる業界の大手企業がソーシャルメディアを買い取り、自社事業に統合させる動きが活発化する可能性がある。
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編集=森 美歩

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