アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(Photo by Brent Lewis/The Denver Post via Getty Images)

アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、カリフォルニア州で開催されたRecode Codeカンファレンスに登壇。ITコラムニストのウォルト・モスバーグを聞き手に、近頃メディアの話題にのぼる言論の自由をめぐる話題と、アマゾンの企業文化について雄弁に語った。

ベゾスは共和党の大統領候補者、ドナルド・トランプがメディアに圧力をかけていることを強く非難した。

トランプは大統領候補に不適切

「この国の大統領候補者であれば言論の自由を尊重し、自ら進んで自分のことを調査するようメディアに対して言えるようでなければなりません」とベゾスは述べ、トランプは候補者として不適切だとした。ベゾスが「メディアは報復を恐れることなく自由にビリオネアや大手企業を批判できる風土でなければならない」と述べると、聴衆から大きな拍手が沸き起こった。

ベゾスはまたシリコンバレーの大物投資家のピーター・ティールがメディアからの批判を封じようとしていることを、表現の自由を侵す行為だとして痛烈に批判した。

ティールは、元プロレスラーのハルク・ホーガンが友人の妻とのセックス動画をオンラインメディア「ゴーカー・メディア」に公開され、同社をプライバシー侵害で訴えた裁判で、ホーガンの訴訟費用を密かに援助していたことが明らかになった。ティールは、自身がゲイであることをゴーカー・メディアに暴露されて以来、ゴーカー嫌いを公言してきた。

ワシントン・ポストのオーナーでもあるベゾスは、富豪や権力者について報じたメディアを攻撃することは危うい行為だと指摘した。「アメリカは、世界で一番表現の自由が保障されている国です。それは憲法で保障されているからだけでなく、この国の文化に根付いているからです」とベゾスは語った。

終業時刻ばかり気にする社員は要らない

皮肉にも、ゴーカー・メディアはベゾス自身やアマゾンに批判的な記事をこれまでに数多く掲載している。特にアマゾンの従業員の待遇が劣悪だとして、長年に渡ってアマゾンを糾弾してきた。ベゾスは、アマゾンのような大企業が批判の対象になるのは当たり前のことだと述べ、自社に対する批判も甘んじて受ける姿勢を示した。

また、メディアの批判に報復する行為については、他者を傷つければ必ず自分も傷つくと述べた。ニューヨーク・タイムズが昨秋、アマゾンの社内文化を酷評する記事を掲載したことについて聞かれると、ベゾスはこう述べた。

「いつも終業時刻ばかりを気にしているような惨めな社員ばかりだったら、今の会社の雰囲気は醸成されなかったよ」と話し、これまで築き上げたアマゾンの企業文化を誇りに思うと述べた。

「私は社員たちに、”ワークライフバランス”よりも、仕事と生活を調和させる”ワークライフハーモニー”を大切にするよう伝えています」とベゾスは述べた。年に3回自らが講師を務める社内のリーダーシップ研修では、この言葉の普及に努めているという。

編集=上田裕資

 

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