あなたの会社の従業員エンゲージメント、下がっていませんか?

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企業の世界において「エンゲージメント(従業員が組織のために自発的に力を発揮しようとすること)」は流行語となっており、それにはもっともな理由がある。各企業は、従業員がやる気と満足を感じていれば、組織運営がより効率的になり利益も増えることに気づいたのだ。

だが市場調査&データサービス会社クオンタム・ワークプレイスの最近の調査によれば、従業員エンゲージメントを促すための各企業の戦略は、十分な効果を生んでいるとは言えない。2015年に仕事に自発的に取り組んでいると実感した従業員は回答者の65.3%と、2年前の68%から減少した。

回答者の大部分が同意した“従業員の満足度を高める要素”は6つある。1. 経営陣が組織をいい職場にするために熱心に取り組んでいるという確信、2. 経営陣の指示を信頼している、3. 会社が将来成功すると信じている、4. 経営陣が人材こそ一番の資源と感じているという確信、5. その組織が出世と成長を遂げるのに適した場所であること、6. 経営陣が将来、企業を成功に導いていくことだ。

だがデータをさらに詳しく見ていくと、各企業にはエンゲージメント促進戦略が功を奏している従業員と、そうでもない従業員がいることが分かる。

2015年に調査に参加した8,700を超える組織の従業員、50万人以上の回答の集計結果を見ると、仕事に自発的に取り組んでいると感じているのは男性72.7%に対して女性が67.9%と、概して男性の方が多かった。

同社はこの傾向について、男性の仕事に対する満足度が長期的な成功や達成感と直結していることが理由である可能性があると分析している。たとえば、仕事に自発的に取り組もうと思う理由の中で、男性回答者の間では「その組織で出世や成長を達成できるという確信」が3番目に重要視されていた(女性回答者の間では6番目だった)。

また「今のポジションが自分の目指すキャリアにつながっている」ことは、女性回答者にとって10番目に重要だったのに対し、男性回答者にとっては6番目に重要だった。「興味深く、やりがいのあるポジションを見つける」は女性が11番目、男性は8番目に重要視していた。

女性回答者の間では、「組織の経営陣が正直で信頼できる」、「経営陣が誠実だと思う」などの要素は、男性に比べると職場での満足度にはつながっていなかった。より影響力のあった要素は「従業員がもっと成功できるように組織が投資をしている」という実感だ。

また特筆すべきは、回答する際に性別を男性とも女性ともせず「その他」とした従業員のエンゲージメントだ。データによれば、これらの従業員のうち、自発的に仕事に取り組んでいると回答したのはわずか41%。またこのカテゴリーは、自発的に取り組んでいない(17%)人や反発を抱いている(12.2%)人の割合が最も高かった。

年齢によっても結果は異なる。25歳未満の従業員の“エンゲージメント率”は70.7%。26~35歳のミレニアル世代になるとこれが67.3%に下がった。それ以降の年齢グループでは、高齢になるにつれこの割合が着実に上昇し、66歳以上の従業員が最高で77.3%だった。おそらく管理職クラスだろう。

こうした幅広い調査は、広範なトレンドを知る上ではいいだろう。だが自社の従業員が職場に来ることでやる気が起きるように、そして自分のキャリアの将来を楽しみに思えるようにしたいなら、各企業は社内で独自の調査を実施する必要がある。それが従業員の士気を高め、同時に組織の競争力も高めるための唯一の方法だ。

編集=森 美歩

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