フェイスブック、動画広告事業を拡大 外部サイトに提供開始 

Alexey Boldin / Shutterstock

フェイスブックが動画広告事業をさらに強化する――。フェイスブックは5月16日、記事内やストリーミング動画に表示する動画広告を「オーディエンスネットワーク」で提供することを発表した。

「オーディエンスネットワーク」とは、フェイスブック上でユーザーに表示している広告を外部のモバイルアプリやウェブ上に提供する機能だ。これにより、企業の広告担当者は、自社の広告キャンペーンを、フェイスブックを起点により多くの場所に拡大できる。

フェイスブックが「オーディエンスネットワーク」で動画広告を売り始めたのは2015年の夏ごろだ。しかし、モバイルアプリでしか表示できず、ユーザーがアクションを起こした場合に広告費が発生する「ダイレクトレスポンス広告」のみだった。

ブランド訴求を強化

今回発表された新機能は、商品よりもブランドの売り込みを目的としたブランディング広告に適している。「オーディエンスネットワーク」の魅力の1つは、フェイスブックが収集した膨大なユーザー情報を活用して広告を打てることだ。広告主はターゲットユーザーを設定し、ピンポイントで広告を投入できる。

用意されるフォーマットは「インストリーム動画広告」と「インアーティクル動画広告」の2種類。「インストリーム動画広告」は動画の再生前や再生後、あるいは途中にも表示可能。広告動画の長さは10秒から30秒までだ。追加料金を納めれば、動画広告が10秒以上再生された場合にのみ広告費を払うことも可能だ。

また、インアーティクル動画広告はインスタント記事の中に表示される。最長20分まで表示でき、広告の半分以上が画面内に表示されると自動的に再生される仕組みだ。音声はデフォルトでオフになっているが、ユーザーがオンにできる。

米国の動画広告市場は今年1兆円を突破

調査会社eMarketerによると、2016年にアメリカでデジタル動画広告に費やされる額は前年比28.5%増の98億4,000万ドル(約1兆780億円)に上る見込みだ。「オーディエンスネットワーク」における広告収入は、従来の比率ではフェイスブックに30%、パブリッシャーに70%が分配されている。

フェイスブック上で閲覧される動画は1日当たりおよそ1億時間分で、インスタグラム上での視聴時間はこの6か月で40%以上も上昇した。

「オーディエンスネットワーク」は2015年の1年間で約10億ドル(約1,100億円)の売上を生み出した。フェイスブックの2016年第1四半期の総売上は、モバイル広告の売上に牽引され、51%増の53億8,000万ドル(約5,890億円)を記録している。

編集=上田裕資

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