米在住ITコンサルタントが警鐘「新しいテクノロジーに対する保守性が、日本企業を弱体化させる」

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近年、日本のビジネスの場でも、メールや電話に代わるコミュニケーションツールとしてLINEやフェイスブックのメッセンジャーを使用する人が増えてきた。しかし、これらは社員が個人的に利用している場合がほとんどで、企業としてSNSを導入している例は少ない。IT最先端の国、アメリカではどのような状況になっているのか。ハイテク企業数社の経営も手がけている米国在住のテクノロジーコンサルタント、インタービジネスの野口芳延CEOに話を聞いた。

谷本有香(以下、谷本):IT最先端のアメリカでは、今、何が起きているのでしょうか。

野口芳延(以下、野口):最近注目を集めたのは、今年4月に行われたフェイスブック開発者向けの年次イベント「F8」での発表でした。印象的だったのは、フェイスブックがメッセンジャーを企業向けの重要なビシネスツールとして位置付けてきたことです。

皆さんご存知のように、チャットをプラットフォームとして使うという点では、日本のLINEの方が先行しています。ただし、これは、現時点では、主にC2(コンシューマー to コンシューマー)の分野です。今回のフェイスブック「メッセンジャー・プラットフォーム」は、チャットをB2C (ビジネス to コンシューマー)、およびC2B (コンシューマー toビジネス)の間のコミュニケーションに使わせようという試みです。

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最初にフェイスブック・メッセンジャーに自分のクレジットカードを登録しておけば、その後は、フェイスブック・メッセンジャーとのインテグレーションを取った企業のアプリケーションとは、フェイスブック・メッセンジャーの中から直接取引きができるようになるわけです。

谷本:具体的には、どのような使い方になるのでしょうか?

野口:たとえば、Uberを呼ぶにあたり、Uberのアプリを使ったり、Uberのウェブサイトに行って呼ぶのではなく、フェイスブック・メッセンジャーの中から直接Uberのライドをオーダーできるようになります。

母の日の花を注文するにあたり、1-800-Flowersというeコマースの花屋さんに電話をしたり、ウェブサイトに行ったり、1-800-FlowersのアプリをまずAppStoreからダウンロードしてきてから、ユーザー名とパスワードを登録して、クレジットカードの番号と有効期限をいれて、それで初めて注文できるようになるのではなく、常日ごろ使っているフェイスブック・メッセンジャーの中から直、注文できるようになるわけです。
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構成=吉田彩乃 写真=藤井さおり

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