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2016.05.12

自転車で走りにくい「諏訪の町」が、先進地域へ

諏訪湖は周回約16km、アップダウンも少なく、自転車に適した環境だ。

起業家から、NPO、大学、老舗企業まで、住民総出の街づくり。あなたの街でも、すぐに真似できるモデルがあるかもしれない。全国23拠点を持つトーマツベンチャーサポートからの協力を得て編集部で厳選した、今、最もおもしろい地方のアイデア集。

自転車で「走りにくい街」が、先進地域へ

諏訪湖周辺は、風光明媚な自然が広がる観光地として知られるが、同時に精密機械工業のさかんな街でもある。その両方を生かして「ものづくりの諏訪」を世界に発信できないか—。そう考え地元有志により立ち上げられたのが、諏訪サイクルプロジェクト「スワクル」だ。

「実は、諏訪湖周辺は自転車で『走りにくい』んです」。プロジェクトの中心人物で、岡谷市で塗装業を営む渡邉俊也は語る。

諏訪湖は周回約16km、アップダウンも少なく、自転車に適した環境だ。しかし、日本の他の多くの地域同様、自転車専用レーンもなく路肩も十分に整備されていない。自転車で諏訪を楽しむ人が増えれば、行政も動くはず。まずはできるところからと、渡邉らは街のシンボルづくりに取り組んだ。

イタリアの工房で修業した経験のある職人他、地元企業の協力を得、間伐材を使用したオール諏訪産の自転車「木龍(もっくる)」を完成。プロジェクトは徐々に認知されるようになり、ついに今年、県がサイクリングロードの整備に動き出した。「身の丈に合ったボトムアップ型で、長期的視点で諏訪を盛り上げたい」と渡邉は意気込む。

スワクル@長野県諏訪市
観光、産業を含めた諏訪の魅力を発信するために、2012年、地元有志によって立ち上げられたプロジェクト。主に諏訪湖周辺の岡谷市、諏訪市、下諏訪町の事業者によって運営されている。


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フォーブス ジャパン編集部 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.22 2016年5月号(2016/03/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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