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2016.04.30

イノベーションが変える世界の医療──5つの大きな変化とは

CoolKengzz / shutterstock

科学と医学の進歩、そして病気に対する我々の理解が深まったことなどにより、公衆衛生の分野ではここ一世紀の間に、目を見張るような進歩がみられた。そしてその進歩によって、我々の平均寿命は20世紀初頭以来、2倍近くにまで伸びている。だが、これらの成果が公衆衛生の分野にもたらす恩恵は、まだ実感され始めたばかりだと言っていいだろう。

新たなイノベーションが今後、世界各地の医療分野にもたらし得る変化には次の5つがある。

1. 新たなテクノロジーによって変化する患者の病気への態度

治療における大きな問題は、患者が医師の指示した通りに薬を服用しないことだ──どの医師に聞いても、そう言うだろう。だが、年間の販売台数が2020年までに1兆に近づくと見込まれるウェアラブル機器やセンサーなどにより、患者が治療や病気予防への態度を変えていく可能性がある。

2. 再生医療が遅らせる老化

世界の60歳以上人口は、2050年には20億人を超える可能性がある。加齢に伴う一般的な病気の多くの治療において有望視されているのが、再生医療だ。

3. 精密医療によって変わる治療

我々はここ数年において、ゲノミクスにおける大きな進歩のおかげで、個人の遺伝子構造の違いや置かれた環境、生活習慣の違いを考慮することで、患者にとってどの治療方法が最適であるかをより適切に予測できるようになっている。

4. より効果的な治療法を迅速に実用化する臨床試験

ゲノミクスに関する理解が深まれば、我々はその発見事項を臨床開発に適用することができるはずだ。新たな治療方法の確立に向けた研究開発を加速させ、より効果的な治療の迅速な実用化につなげることができるだろう。

5. 公衆衛生に関する危機をより迅速に察知し、対応するための新たなテクノロジー

移動や接続性などに関連したシンプルな技術でも、発展途上国などでは公衆衛生の分野における大きな潜在性を秘めている。アフリカでのマラリア撲滅に向けた活動から、我々はインフラ整備が遅れている地域や医療従事者が少ない地域での、移動型の医療施設の高い有用性を学んだ。

また、普及が進む携帯電話は、医療分野で意外なほどの力を発揮している。携帯電話の所有率が6人に1人のアフリカで、米疾病対策センター(CDC)はユーザー追跡技術を利用し、エボラ出血熱の感染拡大を予測した。そのほか医薬品の世界最大手ノバルティスは、アフリカ地方部での抗マラリア薬の在庫管理に携帯電話を活用している。

私たちが健康をどう考えるか、社会が人生のサイクルをどう管理していくか、サイエンスとテクノロジーには、それらを変える潜在力があることは間違いない。

編集 = 木内涼子

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