フェイスブックを悩ませる「スパム・ボット」大増殖の可能性

kirill_makarov / Shutterstock

フェイスブックは4月12日、F8カンファレンスにおいて「ビジネスアカウント」の開放を宣言。メッセンジャーに企業アカウントの導入を促進し、「チャットボット」が顧客らと会話を行う仕組みを発表した。これにより同社は新たな収益を得ようとしている。

しかし、チャットボットの導入は新たな問題を引き起こす可能性がある。ボットの導入が広がれば、ユーザーが不快なスパムに悩まされることも予測できる。スパムは、KikメッセンジャーやTinderでも問題になっている。若い女性になりすましたボットがユーザーの、個人情報を入力させる「ポルノ・ボット」も存在している。フェイスブックでも強引な販促活動を行うようなボットが登場する可能性は高い。

一般的なボットは見知らぬユーザーに突然話しかけることは出来ない。しかし、フェイスブックは、メッセンジャー経由で人々にコンタクトを取りたいと考える企業にオプションを提案している。企業が顧客の電話番号を知っている場合、フェイスブックに99ドルの「カスタマー・マッチングフィー」を支払えば、メッセンジャーで会話を開始するサービスを利用できる。

ボットでの「販促は禁止」とは言うものの……

例えば、美容院の顧客が予約の際に電話番号を美容院に伝えたとする。フェイスブックに99ドルを支払った美容院は、メッセンジャーでその顧客に話しかけることができるのだ。企業がボットを開設するのは無料だが、顧客とチャットをするためには費用がかかる。この、99ドルの課金が、企業ら大量の迷惑メッセージを送ることを抑止するのかもしれない。また、メッセージの内容はフェイスブックが監視している。

フェイスブックの「メッセンジャー・フォー・ビジネス」事業部のフレック・マルテ・フェラー(Frerk-Malte Feller)は「ボットから広告メッセージを送ることは許可されていません」と述べる。しかし、将来的には規制が緩くなる可能性もある。「メッセージの送信数に上限はありません。ただし、内容は監視しています」

フェイスブックは独自の監視用のソフトウエアを使用し、小さな美容院が百万件ものメッセージを送信するような行為を監視する。「それは正しい利用法ではありません」とフェラーは言う。
次ページ > 広告ボットで収益を狙う企業も

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事