HTC Viveを一週間使った感想 単純ゲームで「VRの魔法」を実感 

Chesnot / Getty Images

筆者はこの7日間、HTC ViveでVR(仮想現実)ゲームをプレイしてみた。ゲームはどれもバカバカしいほど簡単だが、13歳のときに初めて任天堂のゲームボーイで遊んだ時以来の興奮を覚え、その魅力の虜になってしまった。

HTC Vive向けにValveが制作した無料デモ「The Lab」では、ViveならではVR体験がふんだんに楽しめる。The Labに含まれるミニゲーム「Longbow」は射手になって城を守るという内容だが、弓を射る感覚のリアルさに、すっかり病みつきになってしまった。その後、Valveのゲームプラットフォーム「Steam VR」のライブラリでLongbowに似たアーチェリーゲームを探していたところ、「Holopoint」というゲームに巡り合った。

Holopointもゲームの作りは単純で、テトリスの方がまだ複雑と言えるほどだ。宙に浮いたキューブに矢を射ると粉々になり、飛び散った破片を除けながらさらにキューブに矢を当てていく。しばらくするとホログラムの侍が現れ、先端に炎がついた矢で襲ってくるので、これも除けながら倒していく。

ゲームは単純だが確実にハマる

シーンの設定やグラフィックは味気なく、音楽も繰り返し同じものが流れているだけだが(音楽は自分の好みの楽曲を加えることができる)、そんな事は全く気にならないほどこのゲームは面白い。肩が痛くなったり、矢をかわすのに疲れるまで夢中になって遊び続けることができる。

Holopointをはじめ、「Space Pirate Trainer VR」や「Audioshield」、「The Brookhaven Experiment」などHTC Vive向けに作られたアクションゲームは、VRコントローラーを2つ使うが複雑な操作は一切なく、ただトリガーを引くだけだ。コントローラーの使い方を体に覚えこませる必要がなく、まるで自分の手を動かすように直観的に操作ができるからこそVR空間に没入できるのだ。

また、HTC Viveが素晴らしいのは、これまでのゲームにありがちだった抽象性を排除し、プレイ方法が分からないという不安を持たずにVR空間に浸れることだ。HTC Viveは現実世界と同じように体を動かすことができ、コントローラーを通じて得られる触覚が一層リアルなインタラクションを可能にしてくれる。

HTC Viveは初期投資こそお金が掛かるが、それ以外の障害はほとんどない。筆者はこの一週間、VRを体験したことのない非ゲーマーの友人にもHTC Viveを紹介したが、全員がすぐにハマった。ゲームや操作方法に習熟していなくても、最初から楽しめるのが大きな魅力だ。

VRの革新的で魔法のような魅力を文章で伝えるのは不可能に近い。例えてみれば、絶景の公園を上空から眺めるのが従来のゲームだとしたら、公園の中に足を踏み入れ、周囲をエメラルド色の水や滝に囲まれ、岩の合間から沈む夕日を眺めることができるのがVRだ。VRは他愛のないことですら強く印象に残る体験へと変えてくれる。HTC Viveはこれまでで最高のゲーム体験で、VR技術の進歩とともにその楽しさはさらにパワーアップしていくに違いない。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事