会話がビジネスを変える「チャットボット」戦線、本格始動

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3月30日、KLMオランダ航空は、フェイスブックのメッセンジャーアプリを使って搭乗券が受け取れるサービスを開始した。フェイスブックは、メッセンジャーでウーバーの配車を依頼できるサービスをスタートさせるなど、既に24社とメッセンジャー上でのサービス連携を開始している。メッセンジャーは、多様な機能を持つサービスに進化し続けており、いずれはiOSやAndroidと肩を並べるプラットフォームに成長するかもしれない。

サンフランシスコで4月12日から開催されるフェイスブックのカンファレンス「F8」では、新たな提携パートナーが多数公開されることが期待されている。

成長のカギは「チャットボット」が担う

eコマースサイト「Zulily」はメッセンジャーを用い、人力でカスタマーサービスを提供しているが、フェイスブックにとってはチャットボットの普及がプラットフォーム構想を実現する上で重要なカギになる。ボットは、顧客からの簡単な質問に自動で答えてくれるソフトウェアで、マイクロソフトやSlack、Kikメッセンジャーなどのテック企業の戦略において不可欠な技術となっている。

これまでグーグルの検索連動型広告や、フェイスブック広告を利用してきた企業は、より高いエンゲージメントが期待できる広告としてメッセンジャー広告に期待を寄せている。ニューヨークのSnaps社は、バーガーキングやペプシなどの有名ブランド向けに絵文字キーボードを作成している企業だ。同社が手掛けたバーガーキングの「チキンフライ」の絵文字キーボードは、数百万人がダウンロードした。

ブルックレリによると、スマホ利用者の中でブランドと連動した絵文字を愛用するのは主に20代の女性で、20代の男性は絵文字よりもGIF画像に興味を示すという。また、ユーザーの約60%は絵文字キーボードをアップストアで見つけるが、残りはKikやTango、Viverなどのメッセージアプリで偶然見つけるという。

料理のレシピもボットが教えてくれる

Snapsは現在20社ほどのクライアントにメッセンジャーボットを開発している。ローンチは今年の第2四半期を予定しており、今後もクライアント数は増える見込みだと言う。ボットは、企業のフェイブックページのように有益な情報の提供と広告を兼ね備えた役割を果たすだろう。

「シャツについたコーヒーの染みの落とし方を知りたければ、洗剤メーカーのボットに尋ねれば教えてくれる。また、香辛料メーカーのボットに“サーモン””とチャットすれば、レシピを教えてくれる」とブルックレリは話す。

「ボットはチャットを機能を拡張させる技術だ」とブルックレリは言う。フェイスブックのツールキットを使うと、画像をカルーセル表示したり、返答を早めるために推奨レスポンスがチャットに自動入力される機能などを搭載する。

しかし、ユーザーが企業のボットとどれだけ活発に会話をするかはまだ誰にもわからない。「フェイスブックも探っているところだ」とブルックレリは言う。

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編集=上田裕資

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