ビジネス

2016.04.07

日本長者番付、美容業界の富豪らが隆盛

SvetlanaFedoseyeva / Shutterstock

今年の日本長者番付は、「人を美しくすること」が大きなビジネスであることを証明した。初めてリストに名前が挙がった人の中で最多の資産を保有する富豪と、資産の増加率で一位だった富豪はいずれも、化粧品・美容関連製品を扱う事業に携わる人たちだった。

化粧品製造・販売のコーセーを経営する小林家の3兄弟(19位、資産額21億ドル)は、自社の株価がここ一年で50%上昇したことを受けて初めてランク入りした。これに寄与したのが、化粧水や日焼け止め、洗顔料をはじめとする美白化粧品シリーズの「雪肌精」の好調な売り上げと、「コスメデコルテ」や若い女性をターゲットとした「ジル・スチュアート」シリーズの安定成長だ。同社の2015年3月期通期の売上高は、前年比10%以上増加、17億ドルに上った。さらに、2016年3月期の通期売上高では、同20%の増加を見込んでいる。

新顔の中で最も保有資産額が多かったのがこの小林3兄弟であり、資産の増加率で1位となったのは、ポーラ・オルビスCEOの鈴木郷史だ。同氏の資産は前年比で69%増加している。植物原料やオーガニックにこだわった製品が、投資家や消費者たちの高い支持を得た結果だ。

両社の株価上昇には、いくつかの要因が挙げられる。化粧品は2014年から免税商品の対象になり、中国人をはじめとする外国人旅行者の購入量が大幅に増加。中国本土から日本への旅行者は2015年、前年からほぼ倍増、500万人近くに上った。観光庁が同年に実施した調査によると、中国人旅行者の約75%が、日本で化粧品を購入している。また、経済産業省によれば、同年の化粧品販売は円ベースでも販売個数ベースでも、共に増加している。

また、両社はいずれも、海外事業でも成功を収めている。ポーラ・オルビスは2012年にオーストラリアのオーガニック化粧品メーカー、「ジュリーク」を買収した。ジュリークは化粧品専門店「セフォラ」などのチェーンを通じて世界20か国で製品を販売しているほか、定期購入型の通販サイト「バーチボックス(Birchbox)」でも購入が可能だ。

一方、コーセーは長年にわたり、香港と中国、シンガポール、マレーシアに製品を輸出してきた。さらに、2014年には米化粧品販売の「タルト(Tarte)」を傘下に収め、大手小売店などにも販路を拡大。北米市場への進出を果たした。

日本長者番付の全てのランキングは下記URLから閲覧可能。
http://forbesjapan.com/japanrich/

編集 = 木内涼子

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