世界のエリートが殺到する「未来に最も近い大学」の全貌

(c)Singularity University

「エクスポネンシャル(飛躍的)・テクノロジー」を駆使し、人類の大きな課題を解決し、地球上の10億人にポジティブな影響を与える。

シンギュラリティ大学は、こうした使命の下で、1〜3日の短期講座や10週間の集中研修・フィールドワークプログラムなど長期コースに加え、10週間の「シンギュラリティラボ・スタートアップアクセラレーター」など、インキュベーターとしてのプログラムも取り揃えている。

最先端の事情を学べるエクスポネンシャル・テクノロジーの領域は、人工知能(AI)・ロボット工学、生物学・生物情報学、エネルギー・環境システム、医療・神経科学、ナノテクノロジー・デジタルファブリケーション(製造)、ネットワーク・コンピュータシステムだ。大学法人ではなく、シンクタンク兼インキュベーターであるため、学位は得られないが、単位や修了証明書をもらえる。一流の講師陣も売りだ。

人気のプログラムに、「グローバルソリューション・プログラム(旧グラデュエイトスタディーズ・プログラム)」がある。これは10週間の集中起業コースで、グーグルがスポンサーなので学費が無料のため、参加者のダイバーシティ(多様性)が特徴だ。昨年は45か国から起業家精神にあふれた人々が参加し、女性が53%を占めた。チーム単位で、人類の難題解決に向けてイノベーションや「起業力」を学ぶ。

また、企業幹部や起業家を対象にした1週間の「エグゼクティブプログラム」も人気で、学費は宿泊・食事も含め、1万4,000ドル(約156万円)。昨年は52か国から企業などのリーダーが参加した。今年はすでに5月まで定員オーバーで、7月はキャンセル待ちリストへの応募のみ可能、9月と12月にも開講予定だ。

「破壊するか、さもなければ破壊されるか」を合言葉に、企業やベンチャーで破壊的イノベーションを起こすための「シリコンバレー気質」を学ぶ。

テーマも、AIが人間の仕事をどう補完するか、次世代の「デジタルっ子」と新労働市場など、参加者の未来への概念を覆すことを目指す。シリコンバレーで最もイノベーティブな企業の視察や無人自動車への試乗に加え、シンギュラリティラボで3Dプリンターやドローンに触れることもできる。シンギュラリティ大学が「未来に最も近い大学」と呼ばれる理由がここにある。

文=肥田美佐子

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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