流産とカフェインの関連性を示す研究結果は過去にも公表されているが、妊娠前の男女双方による摂取が妊娠の継続性に関係していることを明らかにしたのは、今回の調査が初めだ。カフェインが生理学的にどのように妊娠に影響するのかは不明だが、妊娠を望むカップルはこれまで以上に、カフェインの摂取に十分な注意を払うべきであることを警告する結果だといえる。
今回発表されたのは、米国で実施された不妊と環境に関する長期的調査(Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment、LIFE)に参加した妊娠を望むカップルの生活習慣について、1年間にわたって追跡調査を行った結果をまとめたもの。参加者のうち334組が調査期間中に妊娠したが、うち28%が流産を経験する結果になった。
35歳以上の女性が流産した割合は、それ以下の年齢の女性たちのおよそ2倍に達した。また、妊娠前に1日2杯以上のコーヒーを飲んでいた女性が流産する可能性は、そうでない人に比べて74%高かった。さらに、同様の習慣があった男性のパートナーが流産する可能性も、コーヒーを2杯以上飲んでいなかった男性に比べ、73%高かった。
今回の調査では、この因果関係を明確に示す証拠を得るための調査は行われていない。だが、上記の結果が示唆するのは、カフェインには妊娠の継続性に悪影響を及ぼす何かが含まれている可能性があることだ。精子や卵子の細胞に含まれる特定の遺伝子の発現に何らかの小規模な変化が起きる可能性もある(後成的変化や遺伝子の活性化と不活性化など)。実際に何が起きるのかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だ。
また、今回の調査から分かったことのひとつに、女性が流産するリスクは妊娠後のコーヒーの摂取によってさらに高くなる一方(これは、予想されていた結果だ)、パートナーがコーヒーを飲んだ場合でも、女性の場合ほどではないものの、可能性自体は高まるということだ。つまり、単純に妊婦がコーヒーを飲むということにとどまらない、何か複雑な作用が働く可能性があるということだ。
一方、今回の調査ではこのほか、ビタミンの有効性が改めて示された。流産の可能性は、妊娠前に毎日ビタミンを摂取していた場合に55%低下し、妊娠後にも摂取を続けた場合には、79%低くなることが分かった。