サービス業を変える職探しアプリ「ジョブ・トゥデイ」

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ウーバーやTask Rabbit、Handyなどのオンデマンドサービスは、フリーランスで仕事がしたい人や、単発の仕事がしたい人々に多くの機会を提供してきた。しかし、これらのサービスは手軽に仕事を見つけることができる反面、雇用形態が「独立契約者」となるために福利厚生が無く、業務時間や報酬が不安定といった課題があった。

こうした問題を解決したのが、ヨーロッパのあるベンチャー企業、ジョブ・トゥデイ(JobToday)だ。同社はブルーカラーの職種を対象に、オンデマンドサービスの手軽さを活かしながら、ユーザーが安定して仕事を続けられるサービスを立ち上げた。

運営者は元ウェイトレスのロシア人女性

ジョブ・トゥデイは昨年スペインでアプリをリリース。8ケ月間で200万人の就職申し込みを受け付け、1万件の就職を仲介した。今年初めにはロンドンでもサービスを立ち上げ、2016年中に10万人に職を提供したいとしている。同社は今年1月、アクセルパートナーズが主導し、Felix CapitalとMangrove Capital Partnersも参加したシリーズAラウンドで1,000万ドルを調達している。

ジョブ・トゥデイ の共同創業者であるポリーナ・モンタノによると、同社が斡旋した仕事の75%は長期雇用だという。ジョブ・トゥデイは、出会い系アプリ「Tinder」のように求職者と事業主をマッチングするサービスで、双方のユーザーに対して24時間以内にマッチングを実現することを約束している。業種は今のところ小売業と、レストランやホテルなどのサービス業に限られている。

モンタノによると、これらの業界は離職率が高いため、ジョブ・トゥデイを利用した事業主の40%が再び利用するという。ロシア人女性のモンタノは、同じくロシア出身の友人ユージン・ミジンと昨年ジョブ・トゥデイを立ち上げた。モンタノは、レジャー産業や小売業界が旧態依然とした方法で人を採用していることに苛立ちを覚えた経験から、ジョブ・トゥデイのビジネスモデルを思いついたという。

「ヨーロッパの職探しの75%は、いまだに求職者がレジュメを片手に企業を回るパターンです」とモンタノは話す。「巨大な市場ですが、イノベーションがほとんど起きておらず、これまで十分なサービスが提供されてこなかったのです」

サンクトペテルブルク出身のモンタノは、学生時代にウェイトレスのアルバイトをし、卒業後はシェル系列のガソリンスタンドを運営した経験がある。ガソリンスタンドではスタッフの採用で悩まされ、採用の非効率さを痛感したと言う。

「明日までに5人の欠員を埋めなければならない、といった事態が頻繁に起きる。サービス業は営業を停止するわけにはいかず、スタッフを見つけることができなければ致命的だ」

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編集=上田裕資

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