投資判断の基準は愛? シンガポールで働く社長の生活

堀口雄二 IMJインベストメントパートナーズ 代表取締役社長 photographs by yOU (Yuko Kawasaki)

社長の生活を考察し、発想力の源を探る本誌連載「CEO’s LIFE」。リクルートで財務や経営企画を経験、新規事業立ち上げにも携わったのち転職。現在、シンガポールで投資会社を経営する堀口雄二さんに、海外で働く魅力と投資業の極意を聞いた。

ー2012年に投資会社を設立、翌年シンガポールに会社の拠点を移されましたね。

当初は日本とシリコンバレーで投資を展開していたのですが、アジアのほうがマーケットとして非常に魅力的に感じたので。東南アジアで今後の高い経済成長を見込めるのは、いちばんは人口約2億5,000万人のインドネシアですが、ハブとして考えるとシンガポールのほうが利便性が高いし、法律の透明性も高いので決めました。

日本にいたときと比べると働き方は変わりましたね。いちばんは“オフィス”という概念を取っ払ったこと。PCとスマートフォンさえあれば投資業という仕事はどこでもできるので、働き方がとても自由になりました。

ーリクルート社員時代、『ケイコとマナブ』の編集長もされています。いまの社長業との共通点は?

やはり人材育成、“人を創る”ということに尽きます。組織のトップは「何をやるか?」「誰とやるか?」を決めることがとても大事です。編集長時代も今も、やりたいことは明確にあった。ですから、それを成し遂げるために自分だけでは足りない力や経験を“人を創る”ことで補っていく、ということに集中してきました。

ー現在の部下8人に対して特に気をつけていることはありますか。

部下は日本人6人、インドネシア人1人、フランス人1人です。それぞれタイプが違って、意想外のプレーを見せるファンタジスタみたいな人もいれば、堅実着実に業務遂行する安定感抜群の人もいる。バックパッカーみたいにたまに連絡が取れなくなるけれど(笑)、ローカルとすごく仲良くなって、そこから大きな案件を引っ張ってくる人もいる。

そういった異業種や違うキャラクターなどを集め、それぞれの強みを遺憾なく発揮できるようにするのが社長としての私の使命だと思っています。

あとは、彼らから難しい相談や最後の判断を求められたときの、超クイックレスポンスは心がけています。私の判断スピードがボトルネックにならないよう、メールチェックも24時間臨戦態勢という感じで、緊急かつ重要なものに関しては即決断して返信をするのが基本です。
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堀香織 = 構成 yOU(河崎夕子) = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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