宇宙は「使う」時代へ! 超小型人工衛星で道を拓く

[左]青木英剛 グローバル・ブレイン・ベンチャーパートナー、[右]中村友哉 アクセルスペース代表取締役(photograph by Toru Hiraiwa)

中村友哉らが創業したアクセルスペースは重量100kg以下の超小型人工衛星の開発・運用を行う大学発宇宙スタートアップ。2015年11月にはシリーズAラウンドで約19億円の資金調達を実施。17年に地球観測用超小型衛星3機の打ち上げを予定し、18年より衛星から毎日撮影する画像データを提供するサービスの開始を計画している。

青木英剛がベンチャーパートナーを務めるグローバル・ブレインは15年9月、リード・インベスターとして同社への投資を行い、事業展開を支援していく。


青木:最初の出会いは、私が慶應義塾大学ビジネススクールで宇宙ビジネスを研究していた12年秋です。とはいえ、中村さんは東大大学院在学中に超小型衛星XI-IV(03年打ち上げ)などの開発に携わっており、以前から知っていました。

世界中の大学が超小型衛星にチャレンジして失敗するなか、東大・東工大の衛星だけが動いた。「日本にすごい人たちがいる」と驚き、さらに起業したと聞いて、すごいと。だから、初対面なのにはじめて会った気がしませんでした。

中村:アクセルスペースは、地球上の全陸地の半分を毎日撮影し、画像データから得られる大量のデータをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)などを通じて提供する地球観測画像データプラットフォーム「AxelGlobe」を本格始動すると15年12月に発表しました。

「これから攻めますよ」と計画を打ち明けたのが、15年2月。青木さんがグローバル・ブレインに参画した4月に、資金調達のお願いをしました。

青木:事業計画を聞いた瞬間に「いけるな」とすぐにピンときました。我々は15年ハードウェアスタートアップに日本で最も投資をし、私自身も宇宙やロボティクス領域を中心にグローバルに見ているので、わかる範囲も多い。これなら大型資金調達にあたり、他の投資家を説得できるという確信がありました。

これまでの超小型衛星を開発して売るというモノづくりのビジネスモデルから“宇宙ビッグデータ”の会社に変わる。長年、宇宙に携わってきた者として、注目していた分野だったこともあり、一気に熱が入り、進みました。

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山本 智之 = 構成 平岩 享 = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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