ビジネス

2016.03.03

日本発の世界ブランド「ミキハウス」が成功した理由[10年後のリーダーたちへ]

木村皓一 三起商行 代表取締役社長 (photograph by Hironobu Sato)


木村は国内だけでは満足しなかった。84年にフランスの展示会に出展、手応えを得る。翌85年にはフランスに海外法人を設立した。いま、ミキハウスの売り上げの3割は海外需要になってきている。

店舗網はユーロ圏や中東、アジア、ロシアと世界12カ国に広がる。海外では、現地の企業が商品を買い取り、日本国内の2倍以上の売価で販売している。それにもかかわらず、ロンドンの老舗百貨店ハロッズにある店舗の売り上げは好調に推移している。同店は昨年10月に売り場面積を大幅に拡張。当初の10坪から50坪に広げた。

一方、アジアでは中国を中心に、タイやベトナム、シンガポールやインドネシアの富裕層にまでブランドが浸透してきた。国内店舗を見てもインバウンドの影響は顕著で、東京の銀座や新宿、大阪の梅田や難波、心斎橋の百貨店内にある店舗は、売り上げが前年比160%を超える勢いで伸びているという。

「安全・安心でラグジュアリーなベビー用品は、空白市場です」

品質のいい子供服として強いブランドイメージを築き上げた木村が、次に狙うのはベビー服市場だ。ミキハウスの売り上げ成長率をカテゴリー別に見ると、子供服が前年比105〜110%であるのに対し、ベビー用品は150%。品揃えを拡充した分だけ売れていく状況だ。購入目的の半分程度が贈答用というが、インバウンドも伸びている。

「アジアの富裕層に、指名買いされるブランドにしたいですね」木村の夢は尽きない。

きむら・こういち◎1945年、滋賀県生まれ。関西大学経済学部を中退後、71年三起産業を創業。78年三起商行を設立。「ミキハウス」ブランドで、子供服のトップ企業を築き上げた。国内約200店鋪、海外12カ国50店鋪を展開。オリンピックなど世界で戦うスポーツ選手の支援にも力を注ぐ。

大木戸歩=文 佐藤裕信=写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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