次に車から消えてなくなるのは、昔から車には不可欠だったサイドミラーかもしれない。そして、より機能的な新技術が存在していることを考えれば、その消滅はとうの昔に起きていてもよかったのかもしれない。米紙ニューヨークタイムズの記事もつい先ごろ、車に付いている「ミッキーマウスの耳」がなくなる可能性に言及した。
業界関係者によれば、サイドミラーがなくなることで「大幅に騒音が減るほか走行がスムーズになり、二酸化炭素(CO2)の排出量削減や燃費の向上が期待できる」という。さらに、ドアミラーの代わりにカメラを採用したシステムが搭載されれば、「視界が広がる」。
親指大のビデオカメラを設置し、左右のサイドミラーがある場所の近くにカメラが捉えた画像を見るためのモニターを設置したメルセデスベンツCLSは、運転手に従来のドアミラーより広い視界を提供すると同時に、死角をなくすことが分かった。搭載したソフトウェアはさらに、まぶしさや暗さによる見づらさを調整してくれる。
サイドミラーに加え、アウディとキャディラックをはじめとするその他の自動車メーカー各社は、バックミラーにもカメラを搭載させている。ホンダは助手席後側方の映像をカーナビゲーションに表示させる独自の「レーンウォッチ」を採用した。米国道路安全保険協会(IIHS)のデービッド・ズビーによれば、このレーンウォッチによって、事故による保険金請求が減少している。ただ、「サイドカメラ」については今のところ、明確な効果を示す調査結果はないという。
最新テクノロジーは多くの車により幅広く導入されるようになっており、低価格帯のモデルにも採用されるようになった。例えば、日産のヴァーサ ノートには、アラウンドビューモニターを搭載することが可能だ。複数のカメラにより、360度の視界を確保することができる。
今後の課題
こうした新技術の採用にあたって、コスト以外に問題となるのが連邦法に基づく規制だ。米運輸省(DOT)は現在のところすべての乗用車に対し、バックミラーとサイドミラーの設置を義務付けている。
米国自動車工業会とテスラは約2年前、道路交通安全局(NHTSA)に対して請願書を提出。従来のサイドミラーに代えてビデオカメラを設置することを認めるよう求めた。
そして、NHTSAはすでに、2018年5月以降に米国内で販売される乗用車と軽トラックに対し、バックミラーではなくビデオカメラとモニターによって後方の確認ができるシステムの搭載を義務づける方針を発表している。これに加えて、カメラがサイドミラーの機能にも取って代わることが認められれば、ガレージや駐車場でぶつけて、サイドミラーを落としてしまうこともなくなるかもしれない。