金融戦国時代に先手を取るSJIのフィンテック戦略

八木隆二会長(左)と牛雨社長が見据えるのはフィンテック革命後の大変革時代。2016年をそのための知見を蓄えるフェーズと捉え、競争優位を築くため先手先手の対策を打つ。 写真=若原瑞昌

とはいえ、日本にはまだ金融機関への規制が多い。例えば、カベージのようにAIによるオンライン融資を行うには貸金業法や出資法などの規制が障壁となる。しかし、フィンテック分野の拡大とともに、日本でも規制緩和の動きが始まってきた。昨年には金融商品取引法が緩和され、銀行業法の改正も視野に入った。フィンテック革命がグローバルに進む中、日本も慌てて法整備に動き出した状況といっていいだろう。

そんな時代の変革期に、システム開発関連企業ではどこよりも早くフィンテックへの取り組みを始めたSJI。同社のフィンテック戦略室長で代表取締役社長に就任したばかりの牛雨COOは、「これからフィンテックが発展していくことによって、確実に大きな社会変革が起きる。その予測不可能な部分を私たちが創造していくと思うと、それだけでワクワクしてしまいます」と語る。

たしかに時代は動き始めている。米国ではフィンテックのスタートアップが次々とローンチしている。中国でも中国人民銀行がデジタルキャッシュの発行を検討していると発表されたばかり。日本でも、三菱東京UFJ銀行がブロックチェーンを使った仮想通貨を開発中だという。

「三菱東京UFJの仮想通貨のように、ブロックチェーンが銀行ごとに代替貨幣を作り出す可能性はある。いろいろなシナリオが考えられますが、フィンテックによって貨幣経済が大変革を起こすことは間違いない。その時ブロックチェーンが鍵を握ることは間違いないでしょう」(八木)

フィンテック革命の先を見据え、次々と先手を打つSJIは、次の時代の金融サービスにおいて確実な優位を手に入れた。

文=鈴木裕也

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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