イーロン・マスク (Justin Sullivan / Getty Images)

2月10日発表されたテスラモーターズの決算は決して良い数字ばかりが並んでいた訳では無い。同社は2015年通年で10億ドル(約1,130億円)近い損失を記録。直近の四半期ではModel Xを予定通り発売できなかったために、3億2,040万ドル(約360億円)の損失を記録。これは前四半期の3倍の損失額だ。

テスラは経済状況が悪化する中国マーケットでも苦戦しており、米国内ではGMが開発した、低価格で長距離走行が可能なEVとの戦いに直面している。

それでもなお、イーロン・マスクは強気の姿勢を崩さない。テスラは2016年に非GAAPベースで黒字化を目指しており、Model XとModel Sの納車数は2015年と比べて78%増えるとのガイダンスを示した。また、15億ドル(約1,700億円)の新たな投資も行うと宣言した。

イーロン・マスクは業界のアナリストやジャーナリストに対し「ここ数か月は深夜や週末にも働いて大変だったが、最悪の時は過ぎたと考えている」と語った。

しかし、具体的にどうやって目標を達成するのかと問い詰められると、マスクはお茶を濁した。テスラの2015年の販売台数は5万580台だったが、2016年は8万台~9万台が売れると予想している。しかし、Model SやModel Xなどの予想販売台数の内訳については、何度聞いても答えなかった。

「我々は総販売台数で考えている。予想が間違っていたと言われたくないので柔軟性を持たせている」とマスクCEOは説明した。

テスラが8万ドル(約907万円)のModel Xを、果たして本当に量産できるのかには懸念も浮上している。同社は昨年9月にModel Xの納入を開始したが、年末までの納車台数はわずか206台にとどまった。GMのボブ・ラッツ元副会長は、このモデルについて、複雑な構造を持つファルコンウィングドアなどを理由に「製造が難しい」と述べていた。

マスクはModel Xについて、「ちょっと背伸びをし過ぎたかもしれない」と認めた。新しい機能や技術を盛り込み過ぎたというのだ。「最初のモデルではもっと機能を絞り込むべきだった。自信過剰になっていたのかもしれない」と語った。

それでもなお、マスクは「Model Xは素晴らしい車だ。史上最高の車だ。こんな車を作る者は今後居ないだろう。テスラでさえこんな車をまた作るかは分からない」と熱弁をふるった。

Model Xや今後3万5,000ドルで発表予定のModel 3(今年3月に予約を開始。納車は2017年後半)についてマスクCEOが楽観的なのは、Model Sの成功があるからだ。第4四半期には全世界での売上が76%増加。アメリカでは同等クラスの4ドアセダンの中でModel Sが最も売れ、販売台数は51%増の2万5,202台だった。ベンツやBMW、レクサス、ジャガー、ポルシェ、アウディはシェアを奪われた形だ。

マスクはModel 3の競合となるGMの新型EV「ボルト」(今年後半に発売)についても気にしていないようだ。「Model Sは現在同等の他社モデルより売れている。Model 3も同じような状況になれば、売れなくて困ることはない」

中国での不調についても重くは見ておらず、「長期的に見れば、テスラにとって最大のマーケットになるだろう」と述べた。中国でのテスラの販売台数は2015年の第1四半期から第3四半期に3,025台だった。第4四半期の結果は公表しなかった。

マスクCEOは細かい数字にこだわらず、大局を見ている姿勢を示す。「テスラの累計売上は毎年倍増している。ここ100年の自動車業界で、前例の無い出来事だ。今年は販売台数を現在の2倍にできる可能性もある。それはとてもエキサイティングであり、類を見ないことだ」と述べている。

編集=上田裕資

 

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