今年のCM枠は、昨年11月の時点でほぼ埋め尽くされていた。広告主にはバドワイザー、コカ・コーラ、ペプシ、ドリトス、ホンダ、現代自動車、起亜自動車といった企業やブランドが並んでいる。そして、各企業は30秒で500万ドルという料金を、はるかに上回る費用を支払う。
30秒で500万ドルなら、2分のCMは単純計算で2000万ドル(約24億円)ということになる。また、全米が注目する一大イベントに相応しいCMを創ろうと思えば、100万ドル以上の製作費が掛かる。SNSの活用や各種キャンペーンも加えると、更に費用はかさむ。スーパーボウルCMを主体とする宣伝キャンペーンに総額2000万ドル(約24億円)を超える巨費を投じる企業もあるが、それも驚くには値しない。
スーパーボウルのCMスポットが、ここまで重要視される3つの要因を以下にあげてみた。
視聴者へのリーチ力
CMがオンエアされるその一瞬を、全米で1億人を超える視聴者が見る。つまりアメリカの人口の三分の1が見ているということになる。どんな人気番組でも、その半分の視聴率も稼ぎ出せないだろう。
クラッシュ・オブ・クランのYouTube動画は9600万再生
また、試合後にCMを見た視聴者が感想をシェアする波及効果もある。毎年「スターウォーズ」シリーズをオマージュする、フォルクスワーゲンのスーパーボウルCMは、小さな男の子が扮するダース・ベイダ―が話題を呼び、YouTubeで6300万回以上再生された。また、リーアム・二―ソンを起用し、スーパーボウルのファン人気投票で2位を獲得したモバイル端末用ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン(クラクラ):リベンジ」の動画も、9600万回以上再生された。
プラットフォームとしての力
スーパーボウルのCMは、1本のテレビCMという以上にプラットフォームの役割を果たす。各社はティーザー広告、ソーシャルメディア上のキャンペーン活動、消費者を巻き込む懸賞付きキャンペーン、セレブを起用したPRといった活動を、プロジェクトの一環として展開している。
企業にとって、スーパーボウルのCM枠を買うことは「スーパーボウルシーズン」と言われる熱狂の4週間に参加する権利を得ることを意味する。
スーパーボウルは、広告主にとって圧倒的な説得力のある傑出したマーケティングプラットフォームだ。彼らにとって500万ドルという金額は、それだけの価値があることを意味する。年を追う毎に価格は高騰し、ついに500万ドルに達した広告料は、これから先も高騰し続けるのは間違いないだろう。