竹中平蔵 「戦略特区、資本のリサイクル、歳出改革」を実行せよ




よりよい日本をつくるG1 100の行動

日本の将来は、「世の中をよくしたい」という志を持った人がどれだけ出てくるかにかかっていると思います。だからこそ、いま、日本には、「自分たちでよりよい国をつくっていこう」という精神が必要なのです。政府に依存するのではなく、官界、学界、実業界、国際機関、NPO、一般市民にいたるまで、それぞれが当事者意識を持って、批判ではなく行動で物事を変えていく。「G1サミット」はそうした「よくしよう」という志を持った人たちの集まり、すなわち、“ 志のネットワーク”としてとても重要だと思っています。

「日本をよくするために何をすべきか」―
経済学者としての提言は、“経済成長”につきると思います。政府産業競争力会議では、昨年1月から成長戦略について議論していますが、私自身は経済成長を生み出すのは民間企業だからこそ「規制改革こそが成長戦略の一丁目一番地」という考え方です。世界銀行の“規制緩和ランキング”、世界で規制緩和が進みビジネスがしやすい国はどこかというランキングがあるのですが、2000年の森内閣時点で40位。01年からの小泉改革で06年には28位まであがりました。とはいえ、世界の先進国は30カ国程度。にもかかわらず、「行き過ぎた規制緩和」と野党もメディアも批判しました。その結果、民主党内閣は労働市場をはじめとする規制強化を進め、最新のランキング(11年)では47位まで後退したのです。明らかな逆戻りです。

 現在の安倍晋三政権の成長戦略の柱のひとつと掲げている「国家戦略特別区域」は、総理主導の特区として、“日本の岩盤規制” を突破する仕組みとしてつくられました。1月のダボス会議で、安倍総理は「国家戦略特
別区域の枠組みを用いて、2年ですべての岩盤規制に突破口を開く」というメッセージを世界のリーダーたちの前で国際公約として発信し、強い決意表明をされています。(中略)

政府は今後3 年で、2 兆〜3 兆円のコンセッションを目標にしています。コンセッションを行うことで、政府にお金が入る。そのお金で、新しいインフラをつくればいいわけです。さらに、私はコンセッションが地方創生の“キー”になると思います。例えば、愛知県知多半島の有料道路。今回の国会で、有料道路のコンセッションの特区関連法案が審議されますが、県や市が持っている資産を民間に売却し、活用してもらうことが重要です。しかし、こうしたいま、“着実に進んでいること”は、ほとんどメディアに取り上げられていません。そこに問題があると思います。(中略)

 最後に、私はよく学生にも言うのですが、ひとりでも世界を変えられます。例えば、私のゼミの卒業生は、私がダボス会議の存在を紹介したことがきっかけで、極めて高い競争率を突破してダボス会議の事務局に入りました。今年はついに安倍総理が基調講演を行うなど、日本をつなぎました。志がある人がひとりいれば、変えられたじゃないですか。少数でも力がまとまれば日本は変えられる。日本をよくするという志ある人たちに期待しています。

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