ドコモも出資するIoT通信企業、Sigfox 南極でのサービス開始

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IoT(モノのインターネット)向けに低消費電力広域(LPWA)ネットワークを提供するSigfoxが、南極でサービスを提供する。同社には2015年、ドコモの子会社NTTドコモ・ベンチャーズも出資している。

まずはプリンセス・エリザベス基地において、Sigfoxのネットワークを介して研究者の位置をトラッキングできるようにする。さらに、気候変動に関する研究のため、同社のネットワークを使用し、氷に取り付けられたセンサーでデータを収集する。

Sigfoxは非営利活動や人道支援のために同社のネットワークを提供するべくSigfox財団を設立した。南極でのネットワーク提供もその一環だ。今後はインドネシアの漁師の安全確保に向けた取り組みを行うとしている。漁師らは沖に出ると状況を伝達する手段が少ない。非常時の通信手段として役立つ、ボタン1つの小さなデバイスを開発中だ。

「我々が提供しているようなネットワークを必要とする人々から毎日連絡がある」と共同創立者でCEOのLudovic Le Moanは語る。「財団を始めるのに良い時期だ」

携帯電話向けのセルラーネットワークとは違い、SigfoxのネットワークはIoTに特化し、センサーや消火栓、電球などをつなぐものだ。わずか12バイトのメッセージを送るためのネットワークであり、動画のストリーミングや写真のやり取りには向かない。

AT&Tやベライゾンなどのアメリカの大手キャリアも、IoTで自社のネットワークが選ばれるよう宣伝活動を行っているが、これまで使われてきたセルラーモデムは消費電力が大きい。IoTでは少ない消費電力でインターネットに接続する必要がある。

Sigofxには、ネットワークインフラの敷設コストが低いという強みもある。アメリカではライセンスがいらない900MHz帯を利用している。

南極のような場所にSigfoxのネットワークを敷設するには「需要の高いエリアをカバーするためにおよそ20の基地が必要だ」とMoanは言う。現在は3つの基地が設置されており、それぞれ100~200マイル(約160~320キロ)をカバーできる。南極では無線を巡る競争が少ないため、人口密度の高い都市部よりも基地の数は少なくて済む。

2010年に設立されたSigfoxはフランスのトゥールーズに拠点を置き、16か国でネットワークを展開。スペインやフランスでは全土をカバーしている。同社はアメリカでの拡大を進めており、現状のサービスエリアはサンフランシスコとニューヨーク市のみだが、2016年の終わりには100都市まで増やす計画だ。

Sigfoxはこれまで約1.5億ドル(約176億円)の資金を調達しており、今年も資金調達ラウンドを行う。また、2017年か2018年にはアメリカの市場で新規上場する計画だとしている。

編集=上田裕資

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