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2016.01.15 22:00

2016年の株式市場A to Z! 注目の名前、テーマ、トレンド26選(後編)

Paul Morigi / gettyimages

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原油価格は下がり続け、FRB(連邦準備制度)が7年ぶりに金利引き上げ政策に転じるなど、2015年は投資家にとって、渡りきることが難しい一年となった。いわゆるFANG銘柄(Facebook、Amazon、Netflix、Google)を買った人は良かったが、今年の値上がりはこれらの銘柄にほぼ集中するばかり。そこでここでは、去る一年を振り返り、この新たな一年を予想するヒントをA to Zで紹介する(後編)。

M=マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)
フェイスブック創業者は昨年12月、娘の誕生を機に全財産を生涯にわたって寄付することと、フィランソロピーに資金提供するための組織を設立することを発表し、おおいに見出しを賑わせた。昨年同様に株価が34%も上昇すれば、さらに多くの資金が寄付されることになるわけである。

N=ネットフリックス(Netflix)
S&P500で最優秀銘柄だったNetflixにとって、2015年は評論家に前言撤回を迫るような一年となった。もっとも、懐疑派が挙げる疑問点が的外れだというわけでもない。ますます多くのコンテンツ・プロバイダーが、自社の映画やテレビ番組を自社サービスだけで提供するようになってきており、Netflixは、コンテンツ提供元が急速に競争相手に変わっていくという事態に直面しているのである。

O=オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)
お昼のトークショーの女王は昨年、株式に手を染めた。オプラがWeight Watchersに投資し、同時にこの減量プログラムの広告塔となったことで、低迷していた同社の株式は上昇。わずか2日間で時価総額を7億ドル(約844億円)も増やしたのである。とはいえ、セレブのお墨付き銘柄であれば株価上昇が保証されるわけではないことに、投資家は注意すべきである。

P=ペトロブラス(Petrobras)
汚職に原油価格の崩落が重なり、2015年はこのブラジルの大手石油会社にとってひどい年となった。事態改善までに、ますますの悪化も予測されている。ウォール街関係者は、この政府系石油会社が資産を競売に掛けて体勢を立て直すことを期待している。

Q=量的緩和(Quantitative Easing)
金融危機以降のFRBの金融緩和政策が引き締めに入ると、市場関係者は欧州中央銀行(ECB)も引き締め策に転じるものと期待していた。しかし、ECBのマリオ・ドラギ総裁は、政治家が積極的な財政政策に抵抗していることを背景に、12月には期待されたほど資産買い取りを拡大しなかった。

R=ロシア(Russia)
エネルギー価格の暴落により、ロシアで底値をあさっていた投資家の人生は悲惨なものになった。株価は間違いなく安い。商品銘柄が中心とはいえ、市場全体のPEレシオは7倍を切っている。「そんなレベルで留まるはずがない」とに賭けるのは、忍耐強くて勇気がある人にしか許されない投資戦略になっている。

S=スター・ウォーズ(Star Wars)
『フォースの覚醒』の記録破りの興行収入は、ルーカスフィルム関連の企業にとって朗報となった。40億ドルを投じた買収の最初の利益に喜ぶ親会社のウォルトディズニーはもちろん、おもちゃメーカーのハズブロとマテル、映画館運営のIMAXらも、『スター・ウォーズ』一色のホリデーシーズンで稼ぎ時となった。

T=テスラモーターズ(Tesla Motors)
イーロン・マスク率いる自動車メーカーの株価は、生産台数では評価できない。フォードやGMに比べればごくわずかしか生産していないにもかかわらず、ピーク時のテスラの時価総額は、すでに両社の150億ドルに迫ってきている。モデルXが発売され、さらに2017年には廉価版のモデル3が加わり、魅力的な電気自動車を大衆に提供するというイーロンの夢が実現することに投資家は賭け始めている。

U=ユニコーン企業(Unicorns)
Uber、Airbnb、その他多くのテクノロジー系のプライベート企業の高水準の評価額は、厳しい目にさらされており、2016年はさらなる試練の時になるだろう。Squareの11月のIPOでは、高水準だった評価額を時価総額が下回る結果となり、ジャック・ドーシー率いるマイクロペイメント企業がレイトステージの資金調達時に受けていた評価を、市場が鵜呑みにしているわけではないことを示したのだった。

V=株価評価(Valuation)
低金利と世界経済の成長鈍化により、売上が増加している企業にプレミアムがつく時代になった。しかしS&P500指数のPEレシオは16倍、シラーPEレシオは25倍にまで上がってきており、企業のマージンがピークを迎えているのだとすれば、これらの指数は今後は低下してくる可能性が高いだろう。

W=ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)
ウォルマートの業績低下により、2015年にバフェットの持株会社バークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオは打撃を受けた。IBMの減速も大きな痛手だった。その一方で、Precision Castpartsの買収、投資先HeinzとKraft Foodsの合併など、M&Aで大きな成功を収めている。

X=アクソバント・サイエンシズ(Axovant Sciences)
アクソバントは6月にバイオテック企業としては過去最大のIPOを実施し、3億1,500万ドル(約380億円)を調達した。新規上場が低迷する市場にあって、ヘルスケア銘柄の活況を印象づけたが、あいにく株価の方は初日の倍額高値を維持できていない。数年前にわずか500万ドル(約6億円)で取得したアルツハイマー治療薬がこの企業全体の価値である。

Y=ヤフー(Yahoo!)
ここ数年の事業立て直すべく、マリッサ・メイヤーCEOが11月にマッキンゼーにコンサルティングを依頼して冷笑を買ったが、アリババ株式の持ち分を手放す計画を反故にした際にはさらに大きな嘲笑を買うこととなった。Yahoo経営陣は依然として、このスピンオフは本来非課税であるはずだと論じているが、この計画撤回により経営陣への信頼は揺らいでいる。ヤフーは現在、コアビジネスの売却もしくはスピンオフを計画中とされ、事業立て直しにはさらに1年ほどかかる模様。メイヤーの辞任やむなしとの憶測に新たな火種を投入した格好だ。

Z=ゼロベース予算(Zero-based Budgeting)
M&Aブームには必ず流行語がつきまとう。1980年代にはコーポレート・レイダー(乗っ取り屋)、2008年の金融危機前にはLBO、そして最近勢いがある言葉がこれだ。マネージャーは予算を組む際、前年度予算をベースに増やしたり減らしたりするのではなく、すべての出費をゼロベースで考え抜かなければならないという意味の言葉である。加工食品のクラフトとハインツをはじめ、ビール業界、レストラン業界のロールアップ型M&Aを資金面支えている3G Capitalが有名にした言葉だ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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