ストーリーテリングがブランド広告に役立つ4つの理由

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ブランド広告にストーリーテリングの手法を取り入れるのは真新しいことではなく、いまや大小さまざまなブランドが伝統的な物語で顧客や見込み客の歓心を買おうとしている。この分野の専門家であるスーザン・グネリウス氏が2013年の過去記事で述べているように、「ストーリーを通じて直接、もしくは遠回しにブランドの宣伝をすることが、広告戦略の中で大きな比重を占めるようになってきた」のだ。

では、マーケティング戦略の一環としてストーリーテリングを取り入れることにはどんな利点があるのだろうか。その4つの効用を以下に紹介しよう。

1. ブランドの個性をアピールできる
ブランドの個性を輝かせるのに、ストーリーテリングほどすばらしいやり方はない。商品を買ってもらうことなしにその魅力を伝えられるからだ。物語の作り手がブランドの側であろうと一般のユーザーであろうと、ストーリーテリングによってブランドの個性がくっきりと高らかに語られることにためらいを感じる必要はない。

ただし忘れてはならないのは、顧客が求めているのはブランドの個性であって、マーケティングチームや個人の個性ではないということだ。

2. ブランドを主役にできる
これについては、Jeep UK社のカントリー・マネージャー、ダミエン・ダリー氏の発言がそのまま答えになっている。いわく、「自動車産業では、双方向性の強いソーシャルメディアが普及して以来とりわけ顕著なのですが、ストーリーテリングがマーケティングキャンペーンの王道になってきています。旅というようなシンプルで比喩的な広告から、より具体的な役柄やプロットを盛り込んだ冒険物語のような広告までがありますが、どちらのケースでも、ブランドを主役に据えることがカギになるのです」

そうすることで、ストーリーのメッセージとブランドとを本質的に一体化できる。あなたのブランドがライバル勢を抑えて勝利する物語であるにせよ、際立った成果を収めるものであるにせよ、大切なのは、ブランドを際立たせることだ。そんなわかりきったことを今さらと思われるかもしれないが、これはうっかり忘れやすいことなのだ。特に、複雑で込み入ったストーリーでは、ついつい二の次にされてしまいがちだ。

3. 心の知能指数(EQ)に訴えることができる

顧客の感情に訴えかけるのに、ストーリーテリングはおそらく最上の方法だ。実在のストーリーを、もしくは少なくとも実話に基づいた物語を、読み手の感情に訴えかけるべく語るように心がけよう。ただし、あまりに直接的な受け狙いはいけない。魂胆をすぐに見透かされてしまうからだ。

これについては、GymJunkies社のテリー・アッシャー・モンカダ氏の発言が参考になる。「スリムな体型を保ち、健康的な生活を送ることがたいていの人には難しいという事実を私どもは理解しております。だからこそ、当社は物語で語るのです。平凡な人たちが非凡な方法で悪い生活習慣から抜け出したストーリーや、忙しくてジムに行けない、あるいはジムに行く気分になれないという人々のストーリーを通じてです。そういった人間の弱さを語ることは問題になるどころか、読者の感情に訴えかけて行動を促すことになるのです」

正直であれ。うそ偽りのない、真実だけを語れ――そういうことだ。

4. より熱烈なファンになってもらえる
どんなブランドでも、顧客や見込み客にはより熱心なファンに育ってほしいと考えるものだ。ただし人の情熱は短期間で冷めやすいものであり、リピーターになってもらうにはとりわけストーリーテリングが有効だ。

無味乾燥な数字の羅列より、感情に訴えかけるストーリーを ―それがなぜかを、専門家ふたりの発言から見ていこう。

同名のビジネス雑誌を発行するFast Company社のレイチェル・ジレット氏はある記事で、こう述べている。

「我々がストーリーを読むことで活性化するのは脳の言語野だけではありません。そのストーリーの内容を実際に体験した際に活性化する部位までが活性化するのです」

「単なる数字の羅列で読み手を退屈させるのは禁物です」と語るのは、ファイルのPDF変換サービスを展開するDocs.Zone社のCEOであるヴァシリー・マクリツキィー氏だ。「誇らしげにシェアしたいデータは、どんな会社にでもあるでしょう。やるべきことは、それの告知に少しばかり創造的な手法を取り入れることなのです」

先に挙げたFast Company社のレイチェル・ジレット氏の記事に添付されていた、ストーリーテリングの効用を図解した画像を再掲した。その要点は、以下の3点だ。

・アメリカ一国だけをとっても、日々消化されているデジタル媒体の文字量は10万500ワードにもなる。だから、短い文章と目を惹くタイトルの組み合わせを心がけよう。
・92%の消費者が、ブランド広告に物語風のものを求めている。だから、起承転結のはっきりした明快な語りを心がけよう。
・脳が画像を処理する速度は文字列の60倍も速い。だから、語るよりも見せることだ。画像を効果的に使ってコンテンツの魅力を高めよう。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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