上場はしたものの... クラウドサービスBox社の苦悩

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クラウドサービスBoxが12月2日、第3四半期の業績を発表した。非GAAPベースの1株当たりの損失は0.31ドル(約38円)でウォールストリートの予想と同等、収益は前年同期比38%増の7,870万ドル(約97億円)で、今期の通期業績予想をわずかに上方修正した。しかし発表後の時間外取引ではここ2四半期と同様に株価は伸びなかった。それでもCEOのアーロン・レヴィは“ブレイクスルー”が進んでいると言う。

Boxは依然利益を出せておらず、利益が出る展望にも言及していない。同社の株価は11月初旬からここ数週間で14%近くも上がったが、それでも1月のIPO価格から40%近く下がっている。レヴィは収益と売り上げは上々だと言うが、それは前にも聞いたセリフだ。

Boxの株価を上げるためには、今以上に何かをしなくてはならない。レヴィは、Box GovernanceとBox Platformという2つの新製品がその触媒になる可能性があると言う。前者は数千人の従業員のBoxの活用方法やオンラインでのファイル上の共同作業を改善する製品で、すでに既存のクライアントからそれぞれ70万ドル(約8,600万円)と20万ドル(約2,500万円)の申し込みが2件あったという。後者はクライアントがソフトウェア開発でBoxの技術を使用できるようライセンス契約を結ぶもので、第3四半期が終わる2週間前に大手金融機関と契約を結んだという。

「何か月も前から説明してきた戦略が実を結び始めた」とレヴィは言う。「これこそが我々のビジネスの未来であり、その未来の始まりがこの第3四半期だ」

Boxは100社以上あると言われるユニコーンには、時価総額で及ばない。Boxの利用者は4,100万人に上り、5万4,000のビジネスクライアントの中にはGEも含まれ、サウスウエスト航空やグーグルのNestチームも含まれる。

新製品が成功すれば長期的な展望が良好になるとレヴィは感じている。フリーキャッシュフローを今後5四半期でプラスに持って行くという目標を達成するための追い風となり、外部の投資に頼らなくても現在のペースを維持できるようになると言う。

Boxは上場したクラウド系スタートアップの先駆者的存在であり、レヴィの人気も相まって多大な注目を受けてきた。

「上場できたことは意義深い」とレヴィは言う。「未上場の企業の価値に関しては様々な個人的意見が飛び交うが、上場すれば価値が明確に分かるし、会計報告もきちんとする。現在のシリコンバレーでは、それはプラスだ」

しかし、Boxに関するアナリストの興味は、次の大きなイノベーションが何になるかだ。来年の今頃にはBox Platformを使って開発された新製品の数字が明らかになることを期待したい。

編集=上田裕資

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