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2015.11.29

アマゾンの1時間配送:アップルを売ってベゾスに賭けるもう一つの理由

Julie Clopper / Shutterstock

アマゾンは、まるで起業したばかりの会社のように、イノベーションを続けている数少ない大手テクノロジー企業だ。ネットフリックスとグーグルの新たな試みがもっと大きな収益を上げていたなら、この2社もそのリストに加えることができただろう。

アマゾンは、1時間以内配送サービスを提供するという。このニュースによって、ハイテク上場企業を率いることに関しては、ジェフ・ベゾスにかなうCEOはいないことが、ますます明確になった。

1時間配送がアマゾンの株価をどのように押し上げるか説明する前に、企業の成功にとってCEOの役割がどれほど大切かを、まず見てみよう。

またとない好例として思い浮かぶのは、アップルだ。スティーブ・ジョブズが率いたアップルは波が大きく、ジョブズは解任された。ジョブズが戻って来た時、アップルは既存産業に3つの新製品――iPod(MP3プレイヤー)、iPhone(携帯電話)、iPad(タブレット)――を投入し、成長を加速させた。

悲しいことに、ジョブズは逝った。

ティム・クックが舵を取るアップルは、その利益の多くを、以上の新製品から得ている。だが114ドルという現在の株価では、カール・アイカーンが2014年10月に2015年末の株価目標とした200ドルには、とうてい届かないように見える。

アップルは、もはやアップルではないのだ。

このことは、企業の業績と将来性にCEOが果たす役割の重要性を物語っている。もしベゾスがいなければ、私はアマゾンの株から撤退するかもしれない。

アマゾンの株主にとってありがたいことに、ベゾスは新事業への衝動を失っていない。

とくに私が注目したのは、1時間以内に商品を配送するというPrime Nowサービスだ。ブルームバーグによると、このサービスは「24の大都市圏、人口にして7,570万人、すなわち4人に一人のアメリカ人を対象にしている」という。

どうすればこのサービスに、経済的意味を見いだすことができるだろう? アマゾンは、ごくわずかの利益性で急速な収益の増加を維持することにフォーカスしているため、ベゾスはこの新サービスを、新たな客を獲得する手段と見なしている可能性が高い。その新しい客に、アマゾンから買い続けることを促そうとしているのだろう。

実際、アマゾンは二つの顧客群にフォーカスしているように見える。より多くの消費者が、実在店舗を持つ小売店ではなく、アマゾンから買うように仕向けたがっているのだ。

ブルームバーグによると、アマゾンは「オンライン販売の世界を支配」し続けようとしており、アマゾンの売り上げは11パーセント上昇して、11月と12月に955億ドルに達するだろうと、Forrester Researchは予測しているという。

アマゾン・プライムの年会費99ドルを払った上で、1配送あたり8ドル払えば1時間以内に配送してくれるというこのサービスから、アマゾンがさらに収益を上げるのは確実だ。消費者がもし2時間待てるのなら、送料はアマゾン・プライムの年会費に含まれている。

Prime Nowは新しいサービスではない。アマゾンはこのサービスを1年近く前にマンハッタンで導入し、採算が取れる方法を模索してきた。コンサルタントのグル・ハリハランは、「配達人が1時間に3カ所から4カ所配達できれば採算は取れる」と、ブルームバーグに語っている。

アマゾンは1時間配送の対象商品を、癖になりがちな商品に絞っている。たとえば、『ロサンゼルス・タイムズ』紙によると、ロサンゼルスの消費者は、「Umamiバーガー、トリュフがけのフレンチフライ、Sprinklesのバニラカップケーキ」の特急配送の中毒になるかもしれないという。

アルコールもまた、定期的に摂取したくなる商品だ。アマゾンは現在シアトルで、「ワイン、ビール、蒸留酒」の1時間配送サービスを提供している。酒類のネット注文の市場は、2020年には14億ドルに達するだろうと、IBIS Worldは予測している。

アマゾンは、株価を押し上げて収益を20パーセント以上増加させることに役立ってきた、シンプルなやり方に従っている。

支出をコントロールし、売上高の伸び率を維持することで、アマゾンの株価は1年間に倍以上になった。

一方でアップルの株価は2015年、これまでのところわずかに5パーセント上げたに過ぎない。

CEOは大きな違いを生むことがある。アップルで得た利益を、ベゾスに賭けることを考えたほうがいい。

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