土井香苗 私の信念「どんな人にも正義感や倫理性がある」




土井香苗が涙ぐんだことがあった。2014 年、世界的な人権調査組織ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)の東京事務所が、創設以来、初めて独自の調査報告書「夢がもてない 日本における社会的養護下の子どもたち」を発表したときのことだ。虐待や親の事情により保護者を欠いた子どもを、日本は安易に施設に収容している。子どもの将来を思うなら、里親や養子縁組の制度を充実させて、一対一の愛情をかけるべきではないか。彼女たちは2 年をかけて、施設が置かれた苦しい状況を聴き取りした。彼女はこう言う。「まさか自分に限ってそんな境遇にならない、そういう話は他人事だと思うことが人権侵害を招くのです」人権問題の解決には時間がかかる。だが、土井はNGOを巻き込み、歳月をかけて日本政府に北朝鮮の人権弾圧を訴え続け、2014 年、国連に調査委員会を設置させた。「どんな人にも正義感や倫理性があるから、HRWの活動は成功するのです」。

ターニングポイントは?
司法試験合格後、大学4年生でアフリカのエリトリアに1年間ボランティアに行ったこと。

メンターもしくは尊敬する人
マーティン・ルーサー・キングJr.

家族構成
夫、子ども1人

メッセージ
正義感を持って社会を変えることが私の仕事。小さなことからでも、多くの人ができる行動を起こしてくだされば、と思います。

土井香苗◎東京大学3年生で司法試験に合格。ピースボートの地球一周に参加した時に、アフリカで最も新しい独立国「エリトリア」を知り、同国の法律をつくるため、刑法の国際調査を担当。ニューヨーク大学ロースクールで国際法の修士号、ニューヨーク州の弁護士資格を取得。09年ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京事務所代表に就任。

藤吉雅春

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