アメリカで「一人暮らしができない若者」、急増の理由

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2008年のリーマン・ショックを経て成人したアメリカのミレニアル世代は、他の世代と比べ、結婚せず、実家暮らしや友人とルームシェアで暮らす割合が高い、という調査結果が明らかになった。

最近の研究によると、25〜34歳でルームシェアをしている割合は、2005年は5.7%だったのが2015年には7.4%に増加している。「Make Room」経営ディレクターのアンジェラ・ボイドは、「独立して一人暮らしをする年齢がどんどん遅れています。そのこと自体は問題ではありませんが、ルームシェアはひとつの選択肢であるべきだと思います」と言っている。

一人暮らしをしないミレニアル世代が増えた理由は主に2つある。2007年にサブプライム住宅ローン危機が起こったため、賃貸物件がかなり少なくなっていること。また、ミレニアル世代が社会に出たのは、リーマン・ショックの間、もしくはその後なので、低賃金で失業率もかつてないほどに高かった。その結果、彼らは貯蓄や財産が少なく、結婚して家庭を築く年齢が遅れていったのだ。

「Pew Research Center」の最近の研究によると、2010年には家を所有している若年成人層は2500万人で、今でも2500万人のままである。心理学者の中には、ミレニアル世代が実家暮らしやルームシェアをする最近の傾向は、社会的には良いことかもしれないが、経済的には良くないと言う人もいる。

専門家は、結婚して新しく世帯を持つ人が少ないことと、住宅復興の停滞はつながっていると考えており、他の領域にも少しずつ影響が出るのではないかと見ている。アメリカの州毎に見てみると、マサチューセッツ州はルームメイトが居る25〜34歳の割合が13.2%と一番高く、次いでコロラド州が11.7%。

興味深いのは、ノースダコタ州は2005年に同居人のいる若者の割合が4%だったのが、2013年には10%と大幅に増えたことだ。ボイドは、2倍以上に増えたのは石油産業の景気が良いからで、理由は「単純に住宅が足りていないからだ」と言っている。ノースダコタ州はそもそも人口密度が高いところではないので、最近の石油景気が住宅不足をさらに悪化させているのだ。

日本もアメリカも、若い世代が家や家庭を持つには厳しい時代のようだ。

文=アレクサンドラ・タルティ(Contributor)/ 翻訳編集=的野裕子

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