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2024.04.29 09:00

100万回のドローン配送を達成、米ジップラインは医療分野から小売に事業拡大

安井克至
2009
配送センターの建設でルワンダ政府と最初の契約を結んでから2年後、ジップラインは2カ所目の配送センター建設と、小さな医療施設やより多くの病院に物資を配送するための契約を結んだ。その後、さらに4カ所に配送センターを開設。最終的にはルワンダ全土にサービスを提供することになった。

アフリカでの事業拡大と小売分野への進出

ルワンダでの事業を軌道に乗せたジップラインは次にガーナに進出し、現在ではアフリカ5カ国でサービスを提供している。そして転機が訪れた。米国で個人用保護具(PPE)の配送を開始した翌年の2021年、同社は小売大手ウォルマートと提携してアーカンソー州のウォルマート本社近くのピーリッジで医薬品の輸送を開始した。この事業は現在、テキサス州ダラスでも展開されている。その1年後、ジップラインはユタ州のインターマウンテン・ヘルスの配送も開始した。

ジップラインは昨年、短距離を飛行し、家庭に直接配送できる2つ目のプラットフォームを構築した。今年、運用を開始する予定だ。このプラットフォームを活用すれば、ジップラインは第2の顧客基盤であるレストランや小売店の配送事業を拡大できる。

同社は現在、クリーブランド・クリニック、GNC、スウィートグリーン、パネラ、マルチケア・ヘルスシステムなど、米国内の20以上の医療機関やレストラン、小売企業と契約している。ワイロベックによると、事業拡大でシステムを合理化できるという利点もある。「ドローンを多く製造することで、輸送を増やすと同時にコストを下げることができる」と話す。

同社は英国の国民保健サービス(NHS)とも提携しており、2022年には日本にも進出した。

輸送コストを半分に削減できた企業もあるとワイロベックはいう。医学誌『ランセット』に2022年に掲載された研究によると、ドローン配送の活用でルワンダでは病院で廃棄される血液の量が年換算で67%減ったという。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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