モビリティ

2024.03.02 09:45

4Gドローンが山間地の救助活動を大きく改善

プレスリリースより

山で遭難した人の捜索にドローンが活用され始めているが、起伏の激しい地形では電波が途絶えて飛行できなくなることがある。そこで箱根町では、4G無線モジュールを搭載したドローンの導入を踏まえて実証実験を行った。

2021年、神奈川県箱根町の箱根消防本部は、行方不明者の捜索や消防活動のためのドローンを導入した。2.4GHz帯のWi-Fi電波を使う機体だ。Wi-Fiの電波は、尾根の向こう側や谷間に挟まれた場所には届かない。そのため、現場に接近して遭難者や災害の状況を報告するというドローンの利点を十分に活用できない場合がある。

そこで今回の試験では、フランスのドローンメーカーParrot(パロット)が製造し、日本ではNTT東日本グループなどが提供する「ANAFI Ai」を使用した。Wi-Fiとモバイル通信用の4G回線の無線モジュールを搭載して、両方を切り替えながら飛行できるというものだ。箱根はほぼ全域がLTEの圏内なので、だいたい4Gがつながる。


実験では、芦ノ湖西岸の、ドローン離陸地点から岬の尾根を越えた側に要救助役の人を配置し捜索を行った。その結果、従来の機体では到達できなかった、対象から85メートルほどの距離まで接近してリアルタイムで映像を送ることに成功した。映像は4800万画素の鮮明なもので、同時に横浜の通信指令室にも送信できることを確認した。

箱根消防本部によれば、これまで地形を考慮して離陸場所を選び、そこまで移動してドローンを運用していたが、ANAFI Aiなら離陸場所の選択肢が広がり、これまで飛行を控えていた場所の捜索も可能になるということだ。今回の実験ではNTT東日本が提供するドローン向けの「LTE上空利用プラン」を利用した。NTT東日本グループは、ANAFI Aiとリアルタイム映像通信サービスを全国の消防機関に提供し、消防分野の課題解決に取り組むとしている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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